電動車のモーターなどに使う「無方向性電磁鋼板」をめぐり、日本製鉄が10月14日に中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄とトヨタ自動車を特許侵害で提訴した。素材メーカーが最重要顧客を訴えるという異例の対応を、「全く迷わなかった」(橋本英二社長)と言い切る日鉄。対するトヨタは、日鉄が前触れなく提訴してきたと批判しつつ、戸惑いも見せる。トヨタはなぜ日鉄の出方を予想できなかったのか。
「(トヨタが宝山から)特許を侵害していないと聞いているだけでは説明にならない」
10月28日に行われた日本鉄鋼連盟の記者会見。会長の橋本氏は個別企業の話と断った上で、日鉄がトヨタを合わせて提訴した理由を説明した。
日鉄は電磁鋼板を製造した宝山だけでなく、トヨタによる使用も侵害に当たると主張。それぞれに200億円の損害賠償を請求しているほか、問題の鋼材を使った電動車の製造・販売の差し止めも求めている。