大森由紀子のスイーツの世界

ナイフとフォーク

ナイフは狩猟道具に由来し、フォークはぜいたく品だった
ナイフは狩猟道具に由来し、フォークはぜいたく品だった

先日、高校生らがスイーツ日本一を競う「スイーツ甲子園」の決勝大会がありました。地方予選を勝ち抜いた4校が、クリスマスをテーマにケーキを完成させましたが、それらを審査用にカットするのが予選審査員の若手シェフたち。

カッティング次第でケーキの印象も変わりますから、皆慎重です。ナイフを熱いお湯で温めてからカットするとクリームの部分もエッジが立って美しい印象になります。

ところでナイフですが、ヨーロッパでは古くから狩猟などの必需品でした。ゆえにテーブル上に登場するのも12世紀と早かったのです。一方、フォークはなかなか根付かず、中世のヨーロッパでは手づかみでものを食べていました。

最初にフォークを使ったのはイタリア。このフォークをフランスに持ち込んだのがアンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスです。それでもフォークはぜいたく品とされ、定着したのは18世紀でした。

やがてこうしたカトラリーも嫁入り道具の一つとなり、イニシャルを入れるようになります。イギリスではフォークの表面に、フランスでは裏に。ということで、テーブルセッティングの際、イギリス式はフォークの歯を上向きに、フランス式は歯を伏せておきます。フォークはぜいたく品との意識があるのか、今もフランスではケーキをスプーンで食べる人が多くて、ちょっとびっくりします。

おおもり・ゆきこ フランス菓子・料理研究家。「スイーツ甲子園」(主催・産経新聞社、特別協賛・貝印)アドバイザー