リニア中央新幹線のトンネル工事現場で崩落事故が相次いだことを受け、JR東海や施工会社などがリニア工事の安全対策について話し合う協議会の初会合が24日、東京都内で開かれた。今回は山岳トンネル工事の安全をテーマに施工会社の担当者らが意見を交換。協議会会長でJR東海の宇野護副社長は「各社の取り組みを共有でき、有意義だった」と語った。
リニアの山岳トンネル工事をめぐっては、10月27日に岐阜県中津川市の現場で掘削の際に表層の土砂などが崩れる「肌落ち」が発生し、作業員2人が死傷。今月8日にも長野県豊丘村で肌落ちが起き、作業員1人が軽傷を負った。安全確認のため山岳トンネル全14工区でいったん工事を止め、現時点で再開したのは9カ所にとどまっている。
今回の会合には山岳トンネルの施工会社12社の担当者らが出席。宇野氏は冒頭のあいさつで「一連の事象に対する世の中の反応は厳しい。プロジェクトにマイナスの力が働いた」と事故防止の徹底を呼び掛けた。
会合は非公開で実施。その後の報道陣の取材に宇野氏は、作業員も加わった事故発生時の対応訓練など取り組み事例が各社から紹介されたことを明かした。また、令和9年とする開業予定時期への影響については「安全を確保しながら工事を進める。地元との協議などもあり、結果的にどうなるかは分からない」と述べるにとどめた。
また、同席した大成建設の原田浩史顧問は「肌落ちは宿命的な災害で必ず防げるという方法はない。各社で考え、近い将来に発生ゼロにできたら」と述べた。
25日には沿線の各都県でも同様の会合が開かれる。協議会は現時点で山岳トンネルのほか、シールドトンネルやターミナル、地下構造物など計7つのテーマを扱う予定。会合はリニア建設工事が終了するまで随時開催される。(福田涼太郎)