近畿の警察官に奈良県警・大玉警部補 被害者寄りそい

警察学校教官時代の教え子の桜井署員と笑顔で話す大玉知子警部補=同署
警察学校教官時代の教え子の桜井署員と笑顔で話す大玉知子警部補=同署

近畿2府4県の優秀な警察官をたたえる第135回「近畿の警察官」(産経新聞社提唱・県信用金庫協会など協賛)に奈良県内からは、桜井署刑事課の大玉知子警部補(53)が選ばれた。捜査や被害者支援では「事件事故は当事者にとって、非日常である」ことを常に胸に刻み、寄りそってきた。受賞について「私でいいのかと驚いたが、周りの人に喜んでもらえてよかった」と笑顔をみせた。

29年間の警察官人生で心がけてきたのは「一般の市民感覚を忘れないこと」。刑事として数多くの事件事故に携わってきたが、その一つ一つには「日常」を壊された人がいる。当事者の立場に立つことを何より信条としている。

もとから警察官を志していたわけではない。大学卒業後は地元、奈良県十津川村に帰り、電器店を営んでいた家業を手伝っていた。しかし、周囲に勧められて県警の採用試験に挑戦し、平成4年に採用された。「合格したときは親や祖父母が喜んでくれた」と振り返る。

警察学校を卒業後、配属された奈良署で受けた捜査実習で「犯人を割り出したり逮捕したりする過程がおもしろく、その強さにもあこがれた」と、刑事になりたいと思うように。6年には同署刑事1課に配属され、刑事部門でのキャリアは18年あまりになる。

最前線で事件捜査にあたる一方、被害者支援にも力を入れてきた。

これまで携わった中で印象に残っているのは、奈良市で16年、市立富雄北小学校1年の有山楓ちゃん=当時(7)=が誘拐、殺害された事件だ。

当時、県警本部捜査1課に所属。両親には個人のメールアドレスを教え、何かあればすぐに連絡が取れるようにした。被害者へのサポート体制がまだ確立していない時期だったが、「少しでも遺族の支えになりたい」という一心で、検察の調べや裁判に付き添い、サポートに徹した。

22年から県警本部県民サービス課に配属され、県警の「犯罪被害者支援室」の立ち上げに尽力。また、県産婦人科医会や公益社団法人「なら犯罪被害者支援センター」と協定を締結し、性犯罪被害者を相互支援する体制の構築にも携わった。

今は、被害者支援のネットワークが広がり、同センターの支援員が被害者や遺族の裁判に付き添う仕組みもできた。「警察の最大の被害者支援は逮捕だが、その後も被害者や遺族のさまざまな手続き、苦痛は続く。警察がフォローしづらい部分をセンターがサポートしてくれ、ほっとしている」。

女性警察官として性犯罪の被害者の調書を取ることも多い。

捜査のためには、被害者が言いたくないことも聞かなければいけないが、「なぜ必要なのかをきちんと説明し、被害者が自身を責めないようにした上で、『被害を届け出てよかった』と思ってもらえるようにしたい」と気を引き締める。

所属する桜井署には、警察学校で教官をしていた時代の教え子たちもいる。「今後は若手に経験を伝え、活躍を見守っていきたい」。温かいまなざしで語った。(前原彩希)

表彰式は24日、大阪・上本町の大阪国際交流センターで開かれる。