韓国の全斗煥元大統領が死去 国家元首として初来日

2020年4月、「光州事件」を巡る事件で被告として公判に出廷後、光州地裁を後にする韓国の全斗煥元大統領(中央)(共同)
2020年4月、「光州事件」を巡る事件で被告として公判に出廷後、光州地裁を後にする韓国の全斗煥元大統領(中央)(共同)

【ソウル=時吉達也】1980年代に韓国の軍事独裁政権を率い、同国の国家元首として初来日した全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が23日午前、ソウル市内の自宅で死去した。90歳だった。血液がんの一種である多発性骨髄腫などの持病を抱えていた。

全氏は陸軍士官学校卒。1979年、当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が暗殺された後、粛軍クーデターを主導し軍の実権を掌握した。戒厳令に反発した南西部光州(クァンジュ)のデモ隊に軍が一斉銃撃を浴びせ多数の死者を出した80年5月の「光州事件」などを経て、同年9月に大統領に就任した。

大統領在任中は88年ソウル五輪の誘致に成功。民主化運動を弾圧する一方、経済成長を軌道に乗せた。83年には当時の中曽根康弘首相が日本の首相として戦後初めて韓国を公式訪問し、翌84年に全氏が国家元首として初来日するなど、日韓関係の改善が進んだ。

大統領退任後の95年、クーデターと光州事件を主導したとして内乱罪などで起訴され、1審死刑判決を経て97年に無期懲役が確定。同年、特赦を受けて出所していた。

韓国では先月26日、全氏の側近で政権を引き継いだ盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が死去したばかり。韓国国内では民主化運動弾圧に対する謝罪や反省がないとして全氏に対する批判的な声が強く、盧氏の死去時とは異なり国家葬は行われない見通し。

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