近畿の警察官に京都府警・馬杉警部補 優しく府民守る

「相手の言い分を最後まで聞くことが大事」と語る馬杉警部補。後進の指導も担う=京都市左京区
「相手の言い分を最後まで聞くことが大事」と語る馬杉警部補。後進の指導も担う=京都市左京区

近畿6府県の優秀な警察官を表彰する第135回「近畿の警察官」(産経新聞社提唱・府信用金庫協会など協賛)に、京都府警からは下鴨署地域課の馬杉(ますぎ)庄二警部補(57)が選ばれた。「気恥ずかしさもあるが、真面目にこつこつと働いてきたことが評価されてうれしい」。20年余りにわたり最前線に立って地域の安全を守り、職務質問のプロとして後進の指導も担ってきたベテランは、喜びをかみしめる。表彰式は24日、大阪国際交流センター(大阪市)で行われる。

「正義なき力は無能なり」。警察官を志したのは、学生時代に通った空手道場の師匠の教えがきっかけだった。35年の警察人生の中で、交番勤務やパトロールによって「府民と警察をつなぐ存在」である地域課の在籍年数は21年。細やかな気遣いと丁寧な対応で同僚や部下だけでなく住民からの信頼も厚い。

最も大切にしていることは、「相手の言い分を最後まで聞くこと」。地域課の仕事の一つでもある職務質問では、周囲を不自然に警戒していたり、警察官から目をそらしたりする人に声を掛ける。「喜んで受ける人はいないからこそ、高圧的にならずに相手のことを理解しなければならない」と話す。

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一方で、相手にひるまない強さも兼ね備えなければならない。五条署(現中京署)管内の交番に勤務していた平成23年、110番で金融機関に急行した。警報が鳴り響くATM(現金自動預払機)付近でバールを持つ男が逃走しようとしたため、「全部わかっているんだぞ」と一喝。相手は凶器を持っており、抵抗される危険もある中で逮捕に至った。「事件によっては力強い警察像を見せる必要もある。警察は最後のとりでだからひるむわけにはいかない」と振り返る。

こうした実績には、生活安全課での経験も生かされれている。城陽署に勤務していた16年に取り扱った覚醒剤取締法違反事件では、所持していた容疑者の取り調べを担当。「いつか子供ができたときに同じことをさせたいのか」と懸命に諭し続けるなど丁寧な取り調べを続けた結果、新たに暴力団組員を逮捕し、覚醒剤や拳銃などの押収にまで至った。「相手を知り、諭すことが警察官の仕事の基本。そのためには相手に聞いてばかりではなく、自分の生い立ちまで話す場合もある」と明かす。

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こうした技能が評価され、府警職務質問準技能指導員に指定され、後輩の指導育成にも余念がない。現在は地域課第二係の係長として、約30人の部下を束ねる立場だ。「あいさつが一番大事。おはようと一言声を掛けるだけでも、毎日やれば府民の信頼を得られる」。新人警察官に対して伝えるとともに、自らも初心を忘れない。

受賞を前に、はっきりとした口調で残りの警察人生を見据えた。「日々、事件は発生している。これからも府民と協力して街の平和を守り続ける」(鈴木文也)