「岸田外交」を支える新任の林芳正外相が、米国のブリンケン国務長官、中国の王毅国務委員兼外相と相次ぎ電話会談するなど早くも動きを本格化させている。親中派と目されるが、英語が堪能で日米両政府間の研修事業創設に関わるなど親米派の一面も持つ。台湾情勢などをめぐり米中両政府が対立を深める中、首相への登竜門ともいえる外相に就任し、「ポスト岸田」をうかがう。
林氏は今月末からスイスで開かれる世界貿易機関(WTO)閣僚会議に出席する方向で調整している。来月10日から英国で開かれる先進7カ国(G7)外相会合にも臨む方針。王毅氏との会談では訪中の招待も受けたが、対中外交に関しては慎重姿勢を見せる。
「主張すべきは毅然(きぜん)として主張し、責任ある行動を求める」。11日の就任会見で対中姿勢について問われた林氏はこう強調し、「毅然とした対応」を方針とする首相と足並みをそろえた。外相就任に伴い「無用な誤解を避けるため」として日中友好議員連盟会長を辞任し、自身を中国寄りだとして危ぶむ自民党内の懸念払拭にも努めた。