関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングとの経営統合手続きの行方は不透明になった。22日の手続き差し止めを命じる神戸地裁の決定で、12月1日に予定していた統合は白紙となる可能性が出てきた。関西スーパーは異議申し立てを行う方針で、オーケー(横浜市)との消費者不在の争いは一層、泥沼化している。
関西スーパーは決定に不服があるとして、地裁に保全異議を申し立てる方針。同社は「株主が示した(賛成の)意思表示を正確に反映して集計を行ったものであり、適法性に何らの疑義もない」と主張していた。
今後、保全異議の申し立てについて、地裁が差し止めを維持するか統合手続きを認めるかを決定。差し止めを維持する決定が出ても、関西スーパーは高裁に「保全抗告」をすることができる。抗告審の判断次第で統合実施か、オーケーがTOB(株式公開買い付け)を実施するのかが決まることになりそうだ。
一連の争奪戦に終わりは見えず、スーパー再編の難しさが浮き彫りとなった。
岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部長は「オーケーは関東でも勢いのあるスーパーだが、関西の流通業界で圧倒的な規模感を誇るH2Oに盾突いた格好で、関西での地盤を切り開くのが簡単ではないことが鮮明になった」とする。一方で今回の司法判断が維持された場合、オーケーはTOB提案で関西スーパーの完全子会社化を目的とし、価格は上場来高値の1株2250円とする意向を崩していない。
置き去りになっているのが関西スーパーの従業員や消費者だ。有沢氏は「従業員と消費者が直接接する業界だ。ゴタゴタが続くことで従業員のモチベーションも下がり、経営にいい影響はない」と懸念。流通アナリストの中井彰人氏は「オーケーの参入は消費者には安売りスーパーの選択肢が増えることでもある」と指摘している。
関西スーパーの異議申し立てへの地裁の判断はH2Oが統合手続きを予定していた12月1日の前に下される可能性がある。争奪戦の行方は再び司法判断に委ねられた。(井上浩平)