FRB議長再任「悪い円安」懸念 日銀、緩和継続

22日、ワシントンのホワイトハウスで演説するパウエルFRB議長(UPI=共同)
22日、ワシントンのホワイトハウスで演説するパウエルFRB議長(UPI=共同)

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が再任されることで米国の金融政策は現行路線が維持され、日本経済には来年にも見込まれる米国の政策金利引き上げに伴う円安進行が当面の課題になる。輸出産業に有利な円安も、昨今は輸入物価の上昇で国内経済に打撃を与える「悪い円安」の側面が強くなった。デフレ懸念が根強く残る中、日本銀行は金利を低く抑える大規模な金融緩和を続けざるを得ず、政策の選択肢が少ないのが悩みだ。

バイデン米大統領は新型コロナウイルス禍の回復期に起きた急速なインフレの抑制を「最重要課題」と位置付けている。市場関係者は景気の過熱を防ぎ物価上昇の勢いを弱める利上げの時期が、当初想定された来年末から前倒しされる可能性を織り込み始めている。

米国の利上げは金利を0%程度に据え置く日本との金利差拡大を意味し、日本より米国で投資した方が利益が出るため、為替相場は円を売ってドルを買う円安ドル高に動く。輸入物価の上昇は原油価格の高騰も重なって国内企業の原材料コストを押し上げており、今後は製品価格に転嫁され消費意欲を減退させかねない。

急激な円安を抑制するには、日本も政策金利を引き上げて金利差の拡大を防ぐのが正攻法だ。ただ、日本は米欧と異なり景気と物価の勢いが弱い。日銀が予測する消費者物価上昇率は令和4年度が0・9%、5年度が1・0%。政策目標に掲げる2%の上昇率達成には程遠く、大規模緩和を手じまいする時期は見えない。

黒田東彦(はるひこ)総裁は15日の講演で、海外の金融緩和縮小の動きに触れた上で、「わが国では、強力な金融緩和を粘り強く続けていく局面にあることを改めて強調しておきたい」と明言した。

日銀審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「大規模緩和の〝出口〟戦略が5年4月に迫る黒田総裁の任期満了後に先送りされるだろう」と指摘。その際は、実現が難しい2%目標を「長期的な目標」に棚上げした上で「政策金利の引き上げを模索するのではないか」との見方を示す。(高久清史)