朝晴れエッセー

まっ暗な帰り道・11月22日

日が暮れるのが早くなった。街灯のない道はさぞかし暗いだろう。特に田舎道は。

4歳の頃、父の転勤で東京から栃木県に引っ越した。

母は自転車で通える洋装店に勤め先を決め、幼い私を連れて働きに出た。私は母の仕事が終わるまで店の近くで遊び、夕方、母は私を自転車の後ろに乗せ、家路を急いだ。

その日は、母が道を間違ったのか、どれだけ自転車をこいでも家に着かなかった。途中、どんどんあたりが暗くなり、やがて墨を流したようにまっ黒な闇になった。

おまけに石がゴロゴロしている道で、自転車もろとも転んでしまった。

幸い、私たちにケガはなかったが、母が前カゴに入れていたじゃが芋が全部飛び散ってしまった。今日の夕餉(ゆうげ)にと、途中で買ったじゃが芋だ。

まっ暗な中を手さぐりでそれらしい物を拾うと、また2人はまっ暗な道を迷いながら帰途に着いた。

ようやくわが家に着き、前カゴを見ると、そこには丸くてすべすべの石がいくつも入っていた。私たちが手さぐりでじゃが芋と思った物は、すべて石だった。

その日のおかずをどうしたのか、記憶にない。

今でもじゃが芋を見るたび思う。子供の私はともかく、大人の母がいくら手さぐりとはいえ、じゃが芋と石の感触の違いや、重さがわからなかったかなぁと。

そして、あのまっ暗な田舎道で必死に石を拾っていた2人の姿を思い浮かべると、今でも笑いがこみあげる。

松尾とも子 64 堺市南区