チリ大統領選 右派の弁護士と左派の下院議員が決選投票へ 来月19日

21日、チリ・サンティアゴで大統領選に投票する人ら(ゲッティ=共同)
21日、チリ・サンティアゴで大統領選に投票する人ら(ゲッティ=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】南米チリで21日、ピニェラ大統領の任期満了に伴う大統領選が実施された。7候補が争う中、当選に必要な過半数を獲得する候補はおらず、右派の弁護士ホセアントニオ・カスト氏(55)と、左派の下院議員ガブリエル・ボリッチ氏(35)が12月19日の決選投票への進出を決めた。同国メディアが報じた。中央選管当局によると、開票率約97%でカスト氏の得票率は約27・9%、ボリッチ氏は約25・8%。

〝南米の優等生〟とされる経済成長の陰で拡大した格差解消と、それに対する抗議デモの暴徒化阻止など治安強化が争点。ボリッチ氏は未批准の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を含む自由貿易協定の見直しを主張している。

首位のカスト氏は元下院議員。ピノチェト軍事政権以来の新自由主義的な経済政策を評価し、2019年10月の首都サンディアゴの地下鉄料金値上げに対する抗議デモに端を発した一連の暴動を「決して肯定しない」と治安の強化を訴える。

先住民族の犯罪やベネズエラからの不法移民を厳しく取り締まる方針を掲げ、同性婚や人工妊娠中絶への反対姿勢は、ブラジルのボルソナロ大統領やトランプ前米大統領に例えられる。

ボリッチ氏は学生運動出身で、新自由主義的な経済政策を「墓場に入れる」と主張する。「富裕層への増税や公的支援の拡充」を訴え、格差解消を求める左派層の支持を集めた。10月末まで支持率トップを走っていたが、「暴動で逮捕された人の恩赦を求める」などの訴えをカスト氏に批判され、終盤で逆転された。

両氏の決選投票を想定した世論調査の支持率は拮抗している。調査会社カデムによるとカスト氏44%に対しボリッチ氏が40%。アクティバ社の調査ではカスト氏32・8%に対しボリッチ氏は32・9%だった。

新大統領の就任日は来年3月11日で任期は4年。憲法は大統領の連続再選を禁じており、現職の中道右派ピニェラ氏は立候補できない。カスト氏とボリッチ氏が支持を広げる中、06年以降4年ずつ交互に政権を担った中道左派と中道右派が擁立した2候補は伸び悩み、チリ国内の政治勢力は左右に二極分化した。

南米はボリビアで昨年11月、ペルーでは今年7月に左派政権が発足。中米ホンジュラスで今月28日実施される大統領選でも「貧困と格差の是正」を訴える左派が支持率で首位に立った。

ブラジルでは来年10月の大統領選への出馬が有力視される左派元職ルラ氏が右派現職ボルソナロ氏を支持率で上回る。チリの決選投票は「左派ドミノ」の行方を占う試金石ともなる。