今村裕の一筆両断

不登校対策「生徒指導」専門の教師育成が要

時代の変化により、給食導入による食の指導、健康のための歯磨き指導、交通戦争では交通安全教育、校内暴力が起こればそれへの対処、ジェンダー教育、環境教育などなど、時代の変化によって、子供を含む家庭で起こる問題へも教師は深く関わることを社会から期待され、それに学校はずっと対応してきました。子供への家庭訪問は、家族ともめて事態の解決を難しくすることもあります。訪問した教師が危害を被る危険もあります。実は、とてもリスクがあることなのです。本来ならばスクールソーシャルワーカーなどの専門性を持ったプロの仕事です。

アメリカでは、学校の職員として、担任として教科を教えるスクールティーチャー、スクールカウンセラー、スクールサイコロジスト、スクールソーシャルワーカー、社会教育部門が統括するコーチ(日本では部活の顧問)、スクールナース、事務統括を含める管理職であるスクールアドミニストレイターなど、分業が進んでいます。すべてアメリカ流の分業が望ましいとは考えませんが、日本の教師で、担任として授業をし、家庭とのコミュニケーションが得意で、ムードメーカーで、情報通信技術(ICT)も得意で、部活の指導も積極的に担当できるなど万能の人はそうはいませんよね。一人で何役をこなしているのだろうと思います。

弁護士が介入することが必要な事例も増加しています。弁護士でも難しいような、被害者、加害者双方から文句を言われつつ、話を聞いて、教育的配慮という名の下、自力救済をしようとして教師は疲弊しています。鬱(うつ)病などの精神疾患で病気休暇となった教師の数は、公立学校で元年度に5478人と過去最多になっています。10年以上毎年5千人前後の人が精神疾患で病気休職となっているのが現状です。

まずは、不登校を含め生徒指導を専門とする教師を各学校に育てることです。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーはこれまで通り配置を進めます。それぞれの職種は専門性に違いがありますから、連携を取りながら児童生徒に関わることです。若い先生のよいモデルにもなるでしょう。

教育に大きな予算をかけない国は、長い目で見ると衰退します。教育は人なりです。武漢コロナ禍で未来の新しい学校の姿が少し見えてきました。今の子供に学校自身が形を変えていくことを求められているようです。

今村裕(いまむら・ゆたか) 昭和31年、福岡市生まれ。福岡県立城南高校、福岡大学、兵庫教育大学大学院修士課程、福岡大学大学院博士後期課程。公立小学校教諭、福岡市教育センター、同市子ども総合相談センター、広島国際大学大学院心理科学研究科、大分大学大学院教育学研究科(教職大学院)を経て、現在開善塾福岡教育相談研究所代表。純真短期大学特任教授。臨床心理士、公認心理師。