大久保、亡父に引退報告「よくやったな、と言われると思う」

引退会見で涙を流しながら、決断理由や亡き父への思いを語るC大阪の大久保=11月22日、大阪市内のホテル(岩川晋也撮影)
引退会見で涙を流しながら、決断理由や亡き父への思いを語るC大阪の大久保=11月22日、大阪市内のホテル(岩川晋也撮影)

「泣かない予定だった」といいながら、記者会見の冒頭から涙腺が緩んでしまうのが、情に厚い大久保ならでは。22日に現役引退会見を開いたC大阪のJ1通算最多得点記録保持者、大久保嘉人。引退を表明する場面で声をつまらせ、2013年に亡くなった父親にどう報告するかを問われ、再び涙を流した。

最後の一瞬まで勝利にこだわり、貪欲にゴールを目指し続けてきた。思いの強さが、相手への激しいプレーや審判への暴言となることも多々あった。それでも、大久保は「やんちゃ」と形容されてきた自らのプレースタイルについて「マネしない方がいいところもいっぱいあったが、それもサッカーだと思っている。まったく悔いはない。貫き通せたのを誇りに思う」と胸を張った。

16日に「ふと思って」ユニホームを脱ぐ決断を下したのも、研ぎ澄まされた得点感覚を誇る大久保らしい。妻には「本当にそれでいいの」と聞かれたというが、「決めたことは曲げない性格」で押し通した。

今季、プロデビューした古巣のC大阪に戻り、小学4年の三男と二人暮らしを続けてきた。洗濯や料理といった家事もこなす中で、「厳しい環境にいれば成長していくと実感した」という。そして、自らの背中を押してくれた亡父への思いをこう口にした。

「厳しい父だったが、いなければサッカー選手になれていないかな。(引退を)報告したら『よくやった』と言われると思う」。戦い続けてきた希代のストライカーは、家族との休息を欲していたのかもしれない。(北川信行)