新たな危機を迎えたハッブル宇宙望遠鏡は、完全復活を果たせるか

期待される完全復旧

ハッブルは予想された寿命を軽々と超えてしまった。同じことがNASAのX線観測衛星「チャンドラ」にも当てはまる。1999年に打ち上げられ、わずか5年の寿命の設計であったにもかかわらず、現在も運用されている。

同じように5年の寿命を予定しているウェッブにとっても、これはいい兆候だろう。ただし、ハッブルとは異なり、ウェッブははるか遠くの軌道を周回することから、宇宙飛行士が近づくことはできない。つまり、何か問題が発生した場合には、すべて遠隔操作で修正しなければならないわけだ。

それでもハッブルは、後継機の開発にも貢献した。例えばハッブルの打ち上げ後、エンジニアはミラーの湾曲が適切でなく、最初は画像がぼやけていることに気づいた。ウェッブの設計では、このようなエラーが発生した場合、エンジニアが遠隔操作で曲率を調整できるようになっている。

ハッブルのエンジニアやオペレーターの努力は、天文学者から高く評価されている。「ハッブルをあらゆる“不機嫌”や気分のムラから救い続ける献身は素晴らしいものです。ハッブルのデータを活用している科学者を支援してくれていることを、とても誇りに思っています」と、ワシントン大学の天文学者のジュリアン・ダルカントンは言う。

ダルカントンは、銀河系の隣人であるアンドロメダの地図作成など、これまでのキャリアを通じてハッブルを頻繁に活用してきた経験をもつ。ダルカントンやカルタルテペをはじめとする天文学者たちは、ハッブルとウェッブの両方が宇宙にあり、同時に観測できることを楽しみにしている。それぞれの望遠鏡の観測装置と波長範囲から、異なることが明らかになるはずだ。

ハッブルがいつ完全に復旧するかはまだわからないが、ジェレティックらによれば最終的にはすべてのシステムが再び稼働する見通しであるという。「ほかのすべての宇宙探査機と同じように、ハッブルもいつかは機能しなくなるでしょう」と彼は言う。「しかし、それがまだずっと先のことであることを願っています」