仮想通貨「Worldcoin」は、ベーシックインカムを実現できるか

「素晴らしく壮大な社会実験」

試験運用の期間中、Worldcoinを請求した人の数は13万人以上にもなる。9月下旬からの1カ月では60,000人にもなった。

また、10月下旬までに25人のオーブ・オペレーターが稼働しており、チリ、ケニア、インドネシア、スーダン、フランスなど、さまざまな国で30台のオーブを運用している。ブラニアは新しいオーブの生産を年間50,000台まで増やす考えで、利用者が10億人になるという見通しはこの台数に基づいている。

WorldcoinはEthereumのトークン規格「ERC-20」に基づいて発行される予定だが、運用開始日はまだ明らかにされていない。関係者の話によると、Worldcoinの運用開始は22年初めになるという。

アルトマンにとって、まさにこれはネットワークの力に関する「素晴らしく壮大な社会実験」の始まりであり、UBIに関する将来の野望の実現に向けた最終リハーサルでもある。

「わたしが確信をもっているのは、実験して第一歩を踏み出し、そして学ぶことで、何がうまくいくのか、何を改善できるのかについてさまざまなことに気づくようになるということです」と、アルトマンは語る。「そうすれば、このような仕組みがどうすればUBIに近いかたちになりうるのかという問いに対して、多くの答えが見つかるでしょう」

ユニバーサル・ベーシックインカムという思索

アルトマンは、ある種のUBIを実現したい、そのために仮想通貨が役立つ方法を編み出したいと長らく考えてきた。今年になって彼はその考えを推し進め、強力な汎用人工知能(AGI)が生み出す利益を世界的なUBIの資金にできるというアイデアを思いついた。

ところが、このアイデアをシリコンバレー発のディストピアであると受け止めた人々から怒りを買った。マイクロソフトリサーチのエコノミストである経済学者のグレン・ワイルは、アルトマンの提案について「いまの世界で最も危険な力であるとわたしが確信しているAIのイデオロギーの典型である」とツイートしている。

WorldcoinはUBIの構想の実現にひと役買うだろうと、アルトマンは言う。「はっきりさせておきたいのですが、これは純然たる思索の段階です。具体的な計画はまったくありません」と、彼は説明する。「それでも、地球上のすべての人を認証し、AGIの利益に基づくUBIを与える目的でWorldcoinを配布するようなことはありえますよね」