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文庫『北京の台所、東京の台所』

中国・北京生まれの料理研究家が、自らの半生と日中の料理にまつわるエピソードをつづったエッセー集の文庫化。かぜ予防の酢とみかんの香りが室内に漂う冬の情景などから、医食同源の考え方が根付いた北京の暮らしぶりが浮かぶ。

文化大革命下の小学生時代には母と2人で農村に送られ、家族がバラバラに。食べ物もろくにない中、母がトウモロコシの粉で作る蒸しパンの思い出も語られる。天安門事件の影響でカナダ留学を断念し、平成2年に来日。レシピ本などで北京家庭料理を紹介する。シンプルでやさしい味のルーツがうかがえる一冊だ。(ウー・ウェン著、ちくま文庫・968円)