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世界のバレエ団に「日本ダンサー」続々 留学、指導者増加が背景に

「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥを踊る金子扶生とワディム・ムンタギロフ(NBS提供、長谷川清徳撮影)
「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥを踊る金子扶生とワディム・ムンタギロフ(NBS提供、長谷川清徳撮影)

海外の名門バレエ団で活躍する日本出身ダンサーが近年、増えている。一般社団法人「日本バレエ団連盟」の調べによると、海外のバレエ団には現在、約230人の日本出身ダンサーが所属しており、国際コンクールでの受賞のニュースもよく耳にする。専門家は、海外のバレエ学校に留学するダンサーや、海外で経験を積んだ指導者の増加が背景にあると指摘する。 

特殊事情

海外のバレエ団で働く日本出身ダンサーが多いのは、日本ではバレエダンサーが職業として確立していないことが主な理由だ。英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルとして活躍した吉田都さんも昨年、新国立劇場舞踊芸術監督就任インタビューの際に「給料が出ない日本のバレエ団は世界的に珍しい。ダンサーがちゃんと給料をもらえる環境にしたい」と話していた。

また海外のバレエ学校に留学する人が以前と比べ、格段に増えていることもある。舞踊評論家の村山久美子さんは、「外国のバレエ学校で学んだ後、そのまま抵抗なく海外のバレエ団で働く人も多い」と話す。

教育向上

一方、国際コンクールで入賞する日本人が増えている要因として、海外でバレエメソッドをしっかりと学んだダンサーが日本に帰国し、後進の指導に当たっていることが大きいという。

村山さんは「国内育ちの人でも、国際コンクールで入賞できるレベルに成長できる環境が整っている」と、日本のバレエ教育の質が向上していることを指摘する。

その上で、村山さんは日本人ダンサーが海外に出ていく端緒として、松山バレエ団団長の森下洋子さんが昭和49年にヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞したことを挙げる。

これを契機に「日本人でも世界に通用する」ということが分かり、海外で挑戦しようという日本人が出始めた。Kバレエカンパニーの芸術監督で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍した熊川哲也さんや吉田さんがそれをリードした。

名門の壁

一方で、パリ・オペラ座バレエ団をはじめ、ロシアのボリショイ・バレエ団やマリインスキー・バレエ団といった伝統と歴史を誇る名門バレエ団で活躍する日本人ダンサーが少ないのはなぜか。

これらのバレエ団には付属の学校(6~8年制)があり、ここで各バレエ団が継承してきた伝統のスタイルを徹底的にたたき込まれる。例えばマリインスキー・バレエ団なら「ワガノワ・バレエ・アカデミー」で独自のメソッドを学んだ上で、一握りの卒業生のみが入団できる。

村山さんによると、「踊りの伝統的なスタイルだけでなく、それぞれのバレエ団で求められる体形もある」。マリインスキー・バレエ団の場合、小顔でほっそりとしていて脚が長いのが条件。とくに整然とそろった踊りが求められるコール・ド・バレエ(群舞)を踊るダンサーはみな身長170センチ以上という。

1990年代にパリ・オペラ座バレエ学校で学び、その後、英国ロイヤル・バレエ団で活躍した小林ひかるさんは「せっかく伝統的スタイルを学んだので卒業後はオペラ座バレエ団に入団したかったが、狭き門でフランス人でも数人しか入れなかった。とくに当時は外国人には閉鎖的であったので、自分の考えを改めた」と話す。

他方、英国の各バレエ団で活躍する日本出身ダンサーは多い。英国のバレエ団はいずれも20世紀に創立されたので、「うまいダンサーを集めた多国籍カンパニー。体のプロポーションもロシアやフランスほどの美しさが要求されないので日本人ダンサーも活躍しやすい」(村山さん)。

そして海外に進出したダンサーたちは、日本国内のバレエ団のレベル向上にも一役買っている。新国立劇場バレエ団や東京バレエ団といった国内のバレエ団で海外からの帰国組が活躍していることもあり、村山さんは「公演の内容をみると、国内のバレエ団も海外の有名バレエ団と見劣りしない」と評価する。