CARストーリー

子育て世代にこれ一台 スズキ・ソリオ


トールワゴンの代表格スズキ「ソリオ」。サイズを超えた迫力あるデザインだ=東京都港区(ソニー α1 FE12-24mm F4G)
トールワゴンの代表格スズキ「ソリオ」。サイズを超えた迫力あるデザインだ=東京都港区(ソニー α1 FE12-24mm F4G)

コンパクトでありながら5人乗り、そのうえ大きな荷物も積める。パワーは控えめだが、取りまわしのよさで狭いパーキングでも駐車は楽々。さらに後席にはパワースライドドアが設定され、チャイルドシートも使いやすい。子育て世代に絶大な支持を誇る元祖コンパクトトールワゴンのスズキ「ソリオ」がフルモデルチェンジ。気配りの行き届いた装備と広い車内で、お出かけが楽しくなる。4代目になった新型ソリオに試乗した。

(土井繁孝、写真も)

黒で統一されたインテリア
黒で統一されたインテリア

今回試乗したのは、最高グレードの「ハイブリッドMZ」。全長3790ミリ、全幅1645ミリと先代より長さが80ミリ、幅が20ミリほど大きくなった。サイズはアップしたが、取り回しなど先代と比べて大きな差はなく、広くなった車内のメリットが上回る。5人乗りを謳うが、リアシートは、セパレートタイプを採用する。アームレストが装備され、2人が乗るには快適だが、大人が3人乗るには厳しい感じ。

クラス最高の広さを誇るリアシート
クラス最高の広さを誇るリアシート

その代わりといってはなんだが、後席の座り心地はクラスを超えた快適さ。身長188センチの筆者が座っても、膝先や天井に余裕がある。このボディーサイズでどうすればこのスペースができるのか不思議なほどだ。

全長が8センチ長くなり使い勝手が向上した
全長が8センチ長くなり使い勝手が向上した

トールワゴンは走りを楽しむというより移動を楽しむクルマ。1・2リッターの4気筒エンジンは、ノンターボで91馬力とパワーは控えめ。車重が1トンほどなので、日常使いで不便を感じることはないだろう。

1・2リッターのエンジンにマイルドハイブリッドを搭載
1・2リッターのエンジンにマイルドハイブリッドを搭載

乗り心地は柔らかめで、コツコツしたショックも少なく、きつめの横風にもふらつくことはなかった。このクラスにしては車内も静かで、家族の会話も弾みそう。

少し山道も走ってみたが、スピードを上げると横揺れが大きく、ボディーがふわふわする。急なカーブなどはゆっくりした走りを心がけたい。

使い勝手のいい四角のボディー
使い勝手のいい四角のボディー

今回は記者1人の試乗のため、パワーや乗り心地に不満はなかったが、5人が乗ったときの加速感や、ブレーキの利き具合などは気になるところだ。

品よくまとめられたインテリア
品よくまとめられたインテリア

2005年のデビュー当初はライバル不在で大ヒット、スズキのクルマ作りのうまさを発揮した会心の一台となった。爆発的な人気をうけて、ライバル各社もこのジャンルに新型車を投入し、激しい競争が続く。

ダッシュボードに車両情報を表示するヘッドアップディスプレイ
ダッシュボードに車両情報を表示するヘッドアップディスプレイ

トールワゴンは、限られたスペースをフル活用する日本ならではパッケージング。最近はさらに車高を上げたハイトワゴンも人気を集める。広い車内の魅力は大きいが、安定感のある乗り心地が課題だろう。

車高の高いワゴンにはEV化のメリットは捨てがたい。EVは複数のバッテリーを床に搭載するので、バランスが取りやすく、重心が低くなる。エンジンに比べてモーターは軽いので、安定した運転性能を生み出す。新しい技術を生かして、トールワゴンは、さらなる進化を続けそうだ。

街にとけこむオシャレなデザイン
街にとけこむオシャレなデザイン

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