日本語メモ

「ガタガタ」というのはなし?

髪形と髪型。体形と体型。どちらもよく見かけるものです。形と型はカタ、ケイとどちらも同じ読みもあり字の形も似ています。意味も同じように用いられることもあり、辞書によっては髪形(髪型)—のように併記していることもあります。同一紙面で形・型が混在するのを避けるためか産経新聞では髪形・体形と「形」を使用するように取り決めがあります。

この形・型(カタ、ケイ)はどちらを使うのか大まかな分け方があります。

主に姿形、フォームを表す場合に「形」が使われます。ハート形、コの字形などの形状を表す場合や「跡形もない」などもこちらになります。

一方の型は手本、パターン、タイプなどに用いられます。型枠、鋳型や型番などの意味合いや「型破り」なども該当します。また足形=踏んで残る足の形、足型=靴作製用の木型―のように使い分ける場合もあります。

髪の毛の形状を表すので髪形…といえば腑に落ちる気もしますが、パターン・タイプと言われれば髪型も妥当かと思えてきます。解釈は人によってまちまちなので、どちらも間違いではないが統一しておこうということでしょうか。

産経ハンドブックに載っている形式を基に形・型を判断し直しを入れることもあるわけですが、中にはなぜこうなのかと考えてしまうものもあります。

以前疑問に思ったのは競泳の「自由形」。一般的に一番速いとされる泳法のクロール=自由形との印象ですが、どの泳法でも自由ということのようです。それならば「自由型」の方が妥当性があるような気がしていました。

メドレー種目の自由形の場合は「平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライ以外の泳法」となっているので実質クロールしか選択肢はないと思いきや、別にクロールである必要はないようです。平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライの3泳法以外ならどんな姿勢(フォーム、スタイル)でも自由とのこと。

2000年のシドニー五輪の男子4×100メートル自由形リレーではラスト数メートルではありますが手はクロール、足はバタフライのドルフィンキックという通称「ドルフィンクロール」を駆使して世界記録を出した選手がいました。泳ぐ姿はどのようなものでもよいということなら「形」とする方がしっくりくる気がします。

ドルフィンクロールに関しては速さでクロールを超えるとされるものの、体力的な消耗などで長い距離を泳ぎ切るのは困難ということもあり主流となるには至っていないようですが、この先も斬新な泳法が現れ注目を集めるといったことがあるのかもしれません。

もう一つ気になっていたのは今夏の五輪で正式競技となった空手。演武を行う「形」では喜友名諒選手が沖縄県勢初となる金メダルに輝きました。この「形」については流派によっては「型」と表記しているものもあり、こちらの方を一般と考える向きもあるようです。

産経ハンドブックでは「形」としていますが、さまざまな種類がある演武を行う―ということを考えるとパターンという意味合いでの「型」の方が分かりやすいのではとの思いもありました。

しかし、正しい姿勢や力強く美しい動作を追求するということであるなら「形」との表記にも抵抗感はなくなりました。五輪を見て感心した単なる素人考えではありますが…。一応きちんとした理由としては全日本空手道連盟の表記に倣ったものだと思われます。

ある時、「ドーム型の建物」と文言を目にした際に「ドーム形」と直そうとしました。 ドーム(dome)とは半球状の屋根の野球場などでもおなじみで、日本語では「円蓋」などと訳されています。もともとは家屋などを表すラテン語「domus」、ギリシャ語「domos」が語源とされているようです。

形状を表すのであれば「形」とすることに迷いはありません。しかし「ドームタイプ」と建築様式の一種と捉えることはできないか?との思いがよぎりました。

実際ドームと名のつく建物でも曲線的ではあるものの半球からはやや遠いものもあったり…。とりあえずいったん保留にして原稿を読み進めていくと今度は「ドーム形」が出てきました。こうなると表記を統一するという名目もあり出稿部に問い合わせた結果、最終的に「ドーム状」となりました。

データベースでは「ドーム形」「ドーム型」どちらも出てきます。文脈などによりいろいろと考えた上での表記に至った…と思うことにします。どちらを使用しても間違いとはいえないものの、気になる表記には今後も悩まされそうです。(ひ)