書評

『志村ふくみ 染めと織り』志村ふくみ、古沢由紀子著

植物染料による紬織(つむぎおり)で知られる人間国宝の染織家、志村ふくみさん(97)。半生をつづった随筆集『一色一生』で大佛次郎賞を受賞した名文家でもあるが、本書は新聞のインタビュー記事など聞き書きを中心とする初の本格的評伝だ。

手仕事、自然への畏敬の念、日本人の色彩感覚…そうした「命」のようなものを後世に伝えていかなければならない、と志村さんは説く。染織の学校「アルスシムラ」を開いたいきさつや、作家の石牟礼道子さん(1927~2018年)との親交、2人の絆を感じさせる新作能「沖宮(おきのみや)」の衣装のことなど、近年の活動についても詳しく紹介している。(求龍堂・3300円)