水戸岡氏デザイン「新たま電車」で起死回生図る 和歌山電鉄

空前のネコブームを巻き起こした名誉永久駅長「たま」=平成24年
空前のネコブームを巻き起こした名誉永久駅長「たま」=平成24年

日本の民営鉄道初のネコ駅長「たま」で有名になった和歌山県北部の和歌山電鉄。一時は外国人観光客が急増したが、コロナ禍などで利用者が減少し、厳しい経営環境に直面している。そんな現状を打開しようと、和歌山電鉄は12月4日、三毛猫の名誉永久駅長「たま」をモチーフにした新車両「たま電車ミュージアム号」を投入する。沿線住民らと協力し、起死回生を図るための戦略「キシカイセイプロジェクト」の一環だ。

たま電車ミュージアム号は2両編成で、車体は高級感のある濃い茶色。車内には、半個室の「セミコンパートメント席」やドリンクなどを楽しめるショップのほか、トリックアート(だまし絵)など多彩な仕掛けを計画している。

デザインは、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」なども手掛けた水戸岡鋭治さんが担当した。水戸岡さんは和歌山電鉄を運営する両備グループのデザイン顧問だ。

12月に投入される「たま電車ミュージアム号」のデザイン(ⓒ水戸岡鋭治)
12月に投入される「たま電車ミュージアム号」のデザイン(ⓒ水戸岡鋭治)

平成19年に投入した車両「おもちゃ電車」を改造する計画で、全面改装としては28年の「うめ星電車」以来約5年半ぶり。貴志川線(和歌山駅―貴志駅)で運行される。

三毛猫「たま」効果も…

新車両投入の背景には、経営環境の著しい〝浮き沈み〟がある。

もともと和歌山電鉄は、廃止の危機にひんしていた貴志川線を南海電鉄から事業継承し、18年に再出発している。

全国的に一躍有名になったきっかけは、19年の三毛猫の駅長「たま」の就任だ。

全国に広がった空前のネコブームの火付け役となり、国内だけでなく海外からも観光客が殺到。利用者数は17年度の約192万人から27年度は約232万人まで増えた。

ただ、その後、利用客は減少傾向に転じた。