平成14(2002)年9月17日夜、日朝首脳会談を終えた北朝鮮・平壌で、政府関係者のブリーフィング(状況説明)が始まった。
「『生存』しているのは蓮池薫さん、奥土(現・蓮池)祐木子さん、地村保志さん、浜本(現・地村)富貴恵さん、それにこちら(日本)から所在確認を依頼していない方1人…」
記者らは慌てふためいた。日本政府が認定する拉致被害者リストに入っていない人物が含まれていたからだ。その被害者が新潟県真野町(現・佐渡市)出身の曽我ひとみさん(62)だと確認するまでに2、3日はかかったと記憶している。