主張

追加経済対策 政策効果を見極めたのか

政府が閣議決定した追加経済対策は財政支出が55兆円を超え、総事業費も78兆円を上回った。新型コロナウイルス禍を受けた昨年4月の緊急経済対策よりも巨額な過去最大の財政支出である。

日本の景気は欧米や中国よりも回復が遅く、所得格差の是正など対処すべき課題も多い。コロナ禍という眼前の危機を克服し、経済を底上げしていくには適切な財政措置が欠かせない。

ただ、企業活動や消費がようやく戻りつつあるこの時期に、ここまで大規模な支出は本当に必要なのか。巨額のお金をつぎ込み、どれほどの政策効果があるのか。政府・与党がこれらを十分に吟味したようにはみえない。

政府は今後、対策を裏付ける令和3年度補正予算案や4年度当初予算案を編成する。対策を具体化する際には今一度、個々の施策の実効性を見極めて経済再生に資する「質」を担保すべきである。

感染第6波への備えを含むコロナ対策から、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」関連の分配政策や成長政策、経済安全保障まで、対策の中身は多岐に及ぶ。

18歳以下や困窮世帯に現金などを配り、コロナ禍で減収となった事業者へも最大250万円を支給するなど、家計や企業向けの給付を手厚くしたこともあって、財政支出が大きく膨らんだ。

支援が必要な企業や個人は今も多く、原油高や円安で懸念される企業収益の圧迫など経済の先行きへの不安もある。それらに目を配るべきは当然である。

だが、対策の検討過程では、個々の施策の緊急性や妥当性などについて生煮えの議論もあった。目玉である18歳以下への給付をめぐり、世帯合算ではなく主たる稼ぎ手の収入で所得制限をかけることの是非を詰めないまま、与党の合意を急いだのが典型である。

会計検査院が、2年度までにコロナ対策で計上された計65・4兆円の執行状況を調べたところ、3分の1超の22・8兆円が執行されず、その大半が翌年度に繰り越されていたことが分かった。今回の経済対策で、同じことが繰り返される可能性はないのか。

対策のメニューをたくさん並べても、それが効果的に使われなければ意味をなさない。これまでの執行状況も踏まえつつ、「ワイズスペンディング(賢い支出)」に徹することが肝要である。