朝晴れエッセー

未来・11月20日

緊急事態宣言が明けた秋の週末、息子が通う保育園で運動会が行われた。私たちにとって初めての運動会である。

コロナ禍であるが保育園側は園児にとっても家族にとっても大切なこのイベントを開催したかったのだろう。感染対策を万全にしての開催となった。演目も僅か2つに絞られた。

保育園側の開催に向けた努力とわが子の晴れ舞台を見たい家族の想いが交差して一つのイベントを作り上げる。

しかし、残念なことに当日は雨が降りそうな、そして長引くコロナ禍を思わせるような、どんよりとした暗い天気となった。

1つ目の演目は、全員でダンス。園児たちは照れながらも一生懸命に踊る。短いこの一瞬をカメラやスマホに焼き付けようと熱を帯びる大人たち。

2つ目にして最後の演目は、「かけっこ」である。といっても10メートルほどの距離をゴールで待ち構えている両親に向けて走っていくものである。遠くにやや緊張した顔のわが子が並ぶ。

「よーい、ドン!」。号砲とともに歓声が響きわたり、園児がこちらに向かって一斉に走ってくる。

カメラをわが子に向けた。

いや、この目でみるんだ。カメラは下を向いた。息子が一生懸命に走ってくる。手足をバタバタさせてやってくる。灰色の空をバックにして走ってくる。

ふいに涙が出た。これまでコロナ禍で思う存分に遊ばせることができなかった。子供もいっぱい我慢をしているだろう。

でも、今は輝く笑顔でやってくる。私たちの『未来』がやってくる。


横山雄二郎 48 千葉県習志野市