10万円給付に賛否 19歳大学生は対象外で落胆

政府が19日に閣議決定した新型コロナウイルス禍に対応した経済対策。その柱の一つが、18歳以下の子供への10万円相当の給付金だ。子育て世代などからは歓迎の声が上がる一方で、年齢や所得による制限で対象者に線引きがなされている点については、「不公平ではないか」といった疑問や批判の声も根強い。経済対策なのか、困窮者支援なのか…。目的の分かりにくさもその一因となっている。(太田泰、内田優作)

今回の給付金は、中学校卒業まで支払われる児童手当の仕組みを活用。10万円相当の給付のうち、まずは5万円を年内に現金で給付し、来春までに子育て関連に使える5万円相当のクーポンを支給する予定だ。夫婦いずれかの所得が960万円未満であることも条件で、共働きの場合は夫婦の合算ではなく、原則年収が多い方で判断される。

沖縄県与那原町の主婦、島崎奈月さん(42)は「子供の衣服や寮費として使い、お小遣いにしてあげたい」と話す。島崎さん夫婦には10人の子供がいる。このうち、同居する高1の次男から1歳の4男まで7人の息子と娘が給付対象だ。

昨年はコロナ禍で子供が在宅し、面倒を見るために週数回のパートに入れなかったが、その際にも特別定額給付金を子供の教育費などに充てていた。大家族で普段から支出も多いだけに「給付はうれしい」と喜びを語った。

一方、18歳以下という要件のため、同年代の若者でも給付の対象外とならざるを得ない人たちも少なくない。

東京都北区のフリーターの男性(22)は「仕方ないとは思うが、やはり給付金があったほうがありがたい」とこぼす。専門学校卒業後は新宿の飲食店で週5回程度働いていたが、コロナ禍で昨年夏から埼玉県の実家に戻っていた。

別の仕事が見つかり、今夏から再び一人暮らしを始めたばかり。「引っ越しで借りたお金を親に返さなければいけないし、これからもどうなるか分からず不安」と漏らした。

都内私立大1年の男子大学生(19)は「当然、自分たちも対象になるものと思っていたのに…」と落胆した様子で話した。静岡県から上京して一人暮らしをしているが、生活費などで「お金がかかるなと思った」。

コロナ禍の影響もあり、自身のアルバイト先は決まっていないという。「大学では、食糧支援を受けている生活が苦しい学生もいる。政府は、国民の誰が困窮しているのか分かっていないのではないかとも思ってしまう」と話した。

中京大の大内裕和教授(教育社会学)は「高校生の8割近くが何らかの進学をする中、大学生や専門学校生は学費がかかるのに『18歳以下』と年齢を区切る根拠がない。コロナ対策と子育て支援を混同している」と話す。

所得制限についても「共働きが多い時代にもかかわらず、世帯年収としないのは時代錯誤といわれても仕方がない」と指摘し、「線引きをするのであれば、理由を説明できないのは問題。不合理なことになるのであれば、制限を設けず一律給付にしたほうが良いのではないか」と強調した。