東京都武蔵野市は19日、住民投票で外国人と日本人を区別せずに投票権を認める条例案をこの日開会した市議会に提案した。松下玲子市長は施政方針演説で「二元代表制を補完し市民参加を進めるため、常設型の住民投票制度の確立を目指す」と述べた。12月21日の本会議で採決が行われる予定で、可決された場合、市は令和4年度中に施行するという。
条例案では、市内に3カ月以上住んでいる18歳以上の日本人と定住外国人に投票権を認める。特別永住者らに加え、日本人配偶者や留学生、技能実習生らも含まれる。在留期間などの要件を設けず、日本人と同条件とするのは大阪府豊中市、神奈川県逗子市に次いで全国3例目となる。
住民投票の対象は市政の「重要事項」で、何を問うかは住民次第だ。投票権を持つ住民の4分の1以上の署名が集まった場合、実施しなければならず、結果については市長や議会に尊重義務が課される。
こうした点から、市政だけでなく基地問題など国政に関わる事柄が住民投票に付された場合、外国人の意思が影響しかねない。実質的な外国人参政権につながるとの懸念から、廃案を求める署名活動が行われるなど反対論も広がっている。
議会後、報道陣の取材に応じた松下氏は「コミュニティーセンターの運営委員や商店街への加入、商工会の活動で国籍を問いますか。今回の条例はこうした市民参加の手法の一つだ」と強調した。