英北部グラスゴーで約2週間にわたって開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が13日、世界の気温上昇の幅について「1・5度に抑える努力を追求する」との成果文書を採択し、閉幕した。先進国は軒並み2050年に温室効果ガスの排出ゼロ(カーボンニュートラル)を打ち出したが、「『排出ゼロ』ありきの巨大な同調圧力が会場を支配し、現実からかけ離れた目標を表明せざるを得なかった」と不満の声も上がる。しかも環境意識の高い欧州は脱炭素のルールを産業政策に結び付ける動きを強めている。日本が手をこまねいていれば、国内産業は窮地に立たされかねない。
目標引き上げ宣言
15年に採択された気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を1・5度以下に抑える努力目標を掲げた。1・5度に抑えるには30年の排出量を10年比45%減らす必要がある。
このため、COP26議長国の英国は、各国に削減目標の上積みを求めていた。
会議では、日米欧はそろって30年の削減目標引き上げを宣言した。欧州連合(EU)は1990年比55%削減、トランプ前政権でパリ協定を離脱した米国もバイデン政権の誕生で同協定に復帰し、2005年比で50~52%削減を誓った。日本は30年度に13年度比で46%の削減を打ち出した。