実質的参政権、懸念拭えず 武蔵野市の住民投票条例案

記者団の質問に応じた東京・武蔵野市の松下玲子市長=武蔵野市役所
記者団の質問に応じた東京・武蔵野市の松下玲子市長=武蔵野市役所

東京都武蔵野市は19日、住民投票で外国人と日本人を区別せずに投票権を認める条例案を市議会に提案した。

住民投票で外国人に投票権を認める条例は全国40以上の自治体にあるが、何らかの要件を設けるケースが多い。違憲の可能性がある外国人参政権の代替制度になりかねないとの懸念の声が上がる一方、松下玲子市長は「より進んだ市民参加に挑戦したい」と成立に意欲をみせている。

市によると、昨年12月時点で住民投票条例を定めている自治体は全国に78あり、そのうち43自治体は外国人にも投票権を認めている。ただ、大半は永住者に限定したり、日本国内の在住年数などを日本人と別に設けたりしている。留学生や技能実習生まで含め、日本人と同条件で認めるのは全国3例目と珍しい。

松下氏はこの判断について「外国籍住民の排除に合理的な理由はない」と主張する。在住期間などの要件を設けている自治体に対しても、「そこに合理的な判断は見いだせなかった」と説明した。

憲法では、選挙権は日本国民固有の権利とされており、外国人参政権は違憲の疑いが濃厚だ。外国人も含まれる住民投票で自衛隊基地や領土問題など国政と関わる事柄について住民の意思が示された場合、行政は尊重義務を負う。住民投票の結果に法的拘束力はないとされるが、こうした観点から、実質的な外国人参政権になるとの懸念はぬぐえない。

外国人が参加する住民投票はすでに各地で実施されている。

滋賀県野洲市で市立病院設置の是非を問う投票があったほか、愛知県高浜市では公民館の取り壊しをめぐって行われた。この2件は地方自治上の課題といえるが、一方で日米地位協定の見直しや、使用済み核燃料をリサイクルする原子力発電所のプルサーマル計画受け入れなど、国政に関わる住民投票も少なくない。

今回、提案された条例案に対しては市民の不安も根強い。

松下氏はこうした声に対して、「二元代表制である市議会が議決を行うので見守ってほしい」と述べるにとどめた。(大森貴弘)

■武蔵野市、住民投票条例提案 外国人と日本人区別せず