政府は19日、岸田文雄首相を議長とする経済安全保障推進会議の初会合を官邸で開いた。首相は経済安全保障推進法案(仮称)の制定に向けた作業を加速するよう指示した。来年の通常国会提出を目指す。米中が経済や技術分野で覇権を争う中、戦略物資や先端技術の保全や育成を国家戦略として進める狙いがある。
首相は「世界各国が戦略的物資の確保や重要技術の獲得にしのぎを削る中、経済安全保障の取り組みを抜本的に強化することが重要だ」と強調した。経済安保政策の方向性として、サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化や基幹インフラの信頼性確保▽人工知能(AI)や量子技術など重要技術をめぐる優位性確保▽基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化―を掲げた。
会議は松野博一官房長官と小林鷹之経済安全保障担当相が副議長を務め、萩生田光一経済産業相、鈴木俊一財務相ら関係閣僚が参加した。
政府は19日付で内閣官房に50人規模の法制準備室を設置。北村滋前国家安全保障局長ら専門家による有識者会議も新設する予定で、松野氏は記者会見で月内にも立ち上げると明らかにした。