民主主義は侵してはならない不磨のシステムではない。欠点だらけでも、君主制や独裁制よりはましであると、チャーチル英元首相は言った。なぜなら独裁者は、自分を倒そうとするものがいれば本能的に弾圧を選ぶ。妥協は自らの死を招いてしまうからだ。
このテーゼを地で行く厄介な現象が、米中2つの大国で起きていた。
中国共産党の第19期中央委員会第6回総会(6中総会)で、習近平総書記(国家主席)は毛沢東と鄧小平しか果たせなかった「歴史決議」を採択させ、不動の独裁的地位を手に入れた。歴史に名を借りた習近平礼賛の政治文書の採択は、国内の抵抗勢力を封じ込めた証しだろう。来年の党大会に向け、総書記として異例の3期目を迎える道筋をつけた。