使い古しの今治タオル、ふっくら再生 日用品の長持ちサポート

土屋鞄製造所の専門職人が修理した革製バッグ
土屋鞄製造所の専門職人が修理した革製バッグ

サステナビリティー(持続可能性)意識が高まる中、長く使った日用品を再生させるユニークな事業が立ち上がった。今治タオルメーカーのIKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック、愛媛県今治市)はタオルの補修事業を開始。バッグ製造の土屋鞄(かばん)製造所(東京都足立区)は家庭で使わなくなった自社製革バッグの再販売事業に乗り出した。資源を有効活用するサービスとして注目を集めそうだ。

「タオルを消耗品ではなく、愛用品として長く使ってほしい。買い替えからメンテナンスの時代になる」

イケウチの阿部哲也社長はこう語り、長持ちするタオルの実現に向け、ランドリーサービスのOKULAB(オクラボ、同渋谷区)と提携。阿部社長自ら監修し、コインランドリーで展開する洗濯代行サービスのタオル専用コースを共同開発した。

ごわごわで硬く、水を吸わなくなったタオルが業務用洗濯乾燥機とプロの技術により、蓄積された汚れやダメージが取り除かれ、ふっくらした心地よいタオルに生まれ変わる。

10月5日に始めたサービスは、オンラインで申し込むか、東京・代々木上原の店舗に持ち込むことで利用できる。店頭価格はバスタオル5~6枚分のデイリーケアコースで2310円(税込み)、デトックスコースで4400円(同)だ。

サービス開始から1カ月以上が経過したが、「注文は想定以上。デトックスを選ぶ人が6割を占めており、洗濯で悩む人は多い」とオクラボの永松修平代表取締役は分析する。新規客、リピーターとも増えており、タオルのメンテナンスに手応えを感じている。

土屋鞄が始めたのは、使用済み革バッグを無料で引き取り、職人が丁寧に修理して再販売する事業。生まれ変わった製品は革の経年変化を生かした一点物だ。

10月限定で回収した革バッグは目標の100点を大きく上回る550点。同・西新井の工場で革のメンテナンスや内装の張り替えなどを行い、このうち150点を同・中目黒の店舗で19日、定価の50~75%程度に抑えて販売を始めた。販売は12月19日まで。

今回は期間限定の引き取り・販売だが、「長く愛せる革製品を生産してきた当社にとってリユース事業への参入は価値がある」(三木芳夫執行役員)とし、修理体制を整備。来年3月をめどに通常サービスとして提供する。

また革製品を人や世代を超えて長く使ってもらうため、「リユース・リペア・リメーク」を柱とするサステナブル(持続可能)なプロジェクトを立ち上げ、再販売事業を拡充していく。専門職人を採用・育成しながら、5年後には売上高5億円を目指す。(松岡健夫)

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