第135回「近畿の警察官」に6人 24日に表彰式

昨年の表彰のつどい(永田直也撮影)
昨年の表彰のつどい(永田直也撮影)

近畿2府4県の優秀な警察官をたたえる第135回「近畿の警察官」(産経新聞社提唱、近畿地区信用金庫協会、富国生命保険相互会社協賛)の受賞者が決まった。事件捜査や取り締まりを通じて市民の暮らしを守り、安全な地域社会づくりに貢献した6人を選んだ。表彰式は11月24日に大阪国際交流センター(大阪・上本町)で、無観客で行う。


捜査の鬼、相談には「神」対応

大阪府警松原署刑事課 空閑(くが)英司警部補(52)

悪を許さない正義漢。積極果敢な捜査で監禁強盗、連続放火、出会い系サイトを利用した連続強盗など数々の凶悪事件を解決してきた。

昨年、70代女性が金づちで殴られた通り魔殺人未遂では、防犯カメラの映像に写っていた不審な少年を発見。父親を説得して少年を任意同行させ、発生翌日にスピード逮捕した。

児童虐待、ドメスティックバイオレンス(DV=配偶者間暴力)など、社会的弱者である子供、女性が被害者となる犯罪には常に敏感、迅速に対応して問題の核心にメスを入れ、被害者に寄り添った事件解決を導いている。

困っている人にはとことん優しい。死体調査、労務災害事故、近隣トラブルなど、結果として犯罪には該当しない住民からの相談にも本気で向き合い、懇切丁寧に対応する姿勢は、他の捜査員の模範になっている。

「安心安全なまち大阪」の実現を願い続けた28年の警察官人生。事件解決のためなら、ときには鬼となって厳しい指示を出すが、普段は誰でも気軽に相談できる気さくな一面も持ち合わせ、まじめで実直、礼儀正しい。上司、同僚、部下からの信望はとても厚い。


飲酒容認、不正改造許さぬ

兵庫県警南但馬署交通課 藤田博幸警部補(58)

勤続35年のうち30年を交通警察部門で勤務。多くの難事件を検挙解決に結びつけている。

特に運送業界にはびこっていた飲酒運転黙認と速度抑制装置(スピードリミッター)不正改造の摘発は、いずれも10府県以上にわたる広域捜査となり、ニュースでも取り上げられた。

社会に警鐘を鳴らし、大型トラックによる死亡事故を大幅に減少させた功績はとても大きい。

平成17年、長距離トラック運転手の多くが仮眠前に飲酒し、そのまま運転しているとの情報から運送業界の常習的な飲酒運転容認の実態にメスを入れ、平成18年までの長期間に及ぶ捜査と取り締まりの結果、ある会社からは大量の酒類の空き缶を押収して書類送検したほか、乗務中のトラック運転手に酒を提供していた飲食店を摘発。全国的な反響を呼び、飲酒運転根絶の機運を高めた。

平成18年から19年にかけ高速道路交通警察隊と交通捜査課の合同捜査本部を設置し、大型トラックのスピード出し過ぎを防ぐ速度抑制装置を不正改造していた48法人73人を大量検挙。藤田警部補と合同捜査本部が業界ぐるみの不正改造の実態を明らかにしたのを受け、関係機関や自動車メーカーも不正改造防止に本腰を入れるようになった。


常に現場の中心、信望厚く

京都府警下鴨署地域課 馬杉庄二警部補(57)

地域住民への親切丁寧な対応で信望を集める。

生活安全部門では通算13年。高齢者を狙う悪質訪問販売、覚醒剤、銃の不法所持、廃棄物不法投棄など平穏を脅かし、生活環境を悪化させる犯罪を数多く解決した。

平成14年には廃タイヤ大量不法投棄事件の捜査の先頭に立ち、綿密な聞き込みと広範囲の防犯カメラ検索から被疑者を見つけ、逮捕。周辺5府県にまたがり約2千本のタイヤを盗み、アルミホイールを外して、あとのタイヤだけを不法投棄する悪質な事件の全容を明らかにした。

地域警察官としても21年勤務し、日夜多発するさまざまな事件事故を陣頭に立って処理。持ち前の社交性を生かして防犯ボランティアや各種団体とともに活動を推進し、地域密着の警察活動を実践している。

平成8年には英語の指定通訳人、平成22年には職務質問準技能指導員の指定を受けるなど多才。空手とマラソンは学生時代から続けている。

現場では常に中心的役割を担う。犯罪検挙、交通指導取り締まりの実務を通じて的確に助言し、褒めるべきは褒め、叱るべきは叱るメリハリの利いた指導で後進にも慕われている。


暴力団排除、自ら先頭に

滋賀県警刑事企画課 北川大輔警部補(51)

困難な事件に率先して取り組み、殺人や賭博など暴力団犯罪を数多く検挙解決して暴力団排除の機運を大きく高めた。

勤続31年のうち25年にわたり刑事部門一筋。豊富な経験に裏打ちされた知識、技能を発揮し、謙虚さを忘れず捜査に取り組む姿勢は、高い評価を受けている。

平成22年、債権取り立てに絡むトラブルで発砲し逃げた暴力団組員の車を目撃情報などからいち早く手配し、検挙した。

平成25年には暴力団の野球賭博を内偵捜査し、自ら先頭に立って賭博場を急襲して20人以上の被疑者を検挙。暴力団組織の資金源を遮断した。

平成30年、男数人が被害者を金属バットで殴り、催涙スプレーを顔に噴射するなど暴行を加えた住居侵入・強盗致傷事件では、手掛かりの少ないなか、長年の捜査経験から組織性や計画性のある犯行状況から暴力団による犯行と見て粘り強く被害者の周辺を調べ、容疑者を割り出し検挙。凶悪事件の全容解明と治安の維持に貢献した。

現在は手配共助係として他府県警察のパイプ役となって捜査を支える貴重な存在。上司、同僚、部下からも信頼されている。


心の傷に寄り添う信念

奈良県警桜井署刑事課 大玉知子警部補(53)

事件捜査に携わる一方、女性警察官の立場から、主に性犯罪被害者の精神的被害軽減に努め、多くの被害者の心の支えとなってきた。

女子児童誘拐殺人事件では、被害者遺族から全面的に協力を得ることで被疑者の逮捕に貢献するとともに、小学1年の最愛の娘を殺害された遺族の悲しみと怒りに事件後も2年以上寄り添い続けた。メールで緊密に連絡を取り合うほか、法要、損害賠償請求についての弁護士相談、心理カウンセリングには必ず付き添い、公判では遺族の付添人として入廷した。

「捜査による二次被害を少しでも軽減できるよう寄り添い、サポートするのが私たちの役割」

強い信念を持ち、犯罪被害者には自分の家族に接するように、優しい気配りで対応している。

県警本部の「犯罪被害者支援室」の立ち上げにも尽力し、奈良に被害者支援の礎を築いた功績は大きい。平成26年には県産婦人科医会、犯罪被害者支援センターと協定を締結し、性暴力などの被害者を相互支援する「ならSARASA(さらさ)ネット」を構築。臨床心理士会、弁護士会犯罪被害者支援委員会など支援団体とも情報共有を推進し、被害者支援の輪をさらに広げている。


捜査支える似顔絵の達人

和歌山県警鑑識課 尾﨑省志警部補(59)

捜査用似顔絵作成の第一人者。

「似顔絵は、発生場所以外の警察署でもすぐに見られるようにしなければ、犯罪の広域化、スピード化に対応できない」

そこで平成19年、県下の警察官が作成した似顔絵を内部ネットワークで共有し、検索できるソフトを開発。事件発生場所以外の警察署でも似顔絵を閲覧し、手配に活用できるようになった。

この功績が認められ、平成20年には初代似顔絵主任捜査官に就任。令和2年、県警初となる似顔絵捜査「技能指導官」の肩書も加わった。

似顔絵は、ただ絵がうまいだけでは作成できない。事件の恐怖と不安におびえる被害者や目撃者を落ち着かせ、容疑者の特徴を正確に聞き出し、短時間で絵にすることが大切だ。これまでに描いた似顔絵は292件323枚。容疑者の特徴をよくつかんでおり、殺人や強盗、強制わいせつなど、数多くの凶悪事件の解決に役立った。

平成10年の強盗事件では、短銃のようなものを突き付けられた店員の証言から作成した似顔絵が手掛かりとなり容疑者を検挙。女子高校生が農道で暴行を受けた事件でも、尾﨑警部補作成の似顔絵が容疑者検挙に結び付いた。