職場のワシントン支局に先日、ネズミが出た。入居しているビルはリノベーションを終えたばかりなのだが、建物そのものは100年近く前に建てられたものだから、ネズミのすみかになるような隙間も多いのかもしれない。外で通りを歩いていても、物陰をチョロチョロと走っているのをよく見かける。
気になって調べてみたら、ワシントンは人口約70万人と町の規模は中程度なのに、全米でも五本の指に入る「ネズミの多い都市」らしい。夏の蒸し暑さや近年の冬の温暖な気候が関係しているという。
ネズミはさまざまな病原体を媒介する厄介者。当然ながら市の衛生当局も神経をとがらせている。住宅などでのネズミの出現を通報する専用電話番号まで設置していて、駆除に積極的に取り組んでいる。
にもかかわらずワシントンでは今年、ネズミの通報件数が前年に比べ26%も増えた。理由の一つとみられるのが、新型コロナウイルスの流行。餌場にしていた多くのレストランが閉店したため、ネズミの活動域が住宅やオフィスに移り、人目につくことが多くなったと考えられるという。
何はともあれネズミに頻繁に顔を出されては困るので、茶菓子の食べ残しはしないように気を付けようと思っているこのごろだ。(大内清)