アルコール消毒は「ほぼ無効」、ノロウイルスにご注意

本格的な冬の到来を前にし、注意が必要なのが激しい下痢などを引き起こすノロウイルスだ。今秋以降、各地ではすでに集団感染が相次いでいる。手洗いは新型コロナウイルスと同様に有効とされるが、アルコール消毒はノロウイルスにはほぼ効かないとの指摘もある。どのように警戒・対応すればいいのか。専門家に聞いた。

「飲食店を利用した生徒のうち、複数人に下痢や嘔吐(おうと)の症状がみられる」。今月4日、大阪府内の高校から池田保健所(大阪府池田市)に連絡が入った。

府によると、2日に池田市内の焼き肉店を利用した16~18歳の高校生男女21人が症状を訴え、うち7人からノロウイルスが検出された。従業員1人からも検出されたことなどから、府は食中毒が起きたと断定。この焼き肉店を3日間の営業停止処分とした。生徒らはいずれも快方に向かっているという。

北海道旭川市の保育所でも10月下旬以降、ノロウイルスの集団感染が相次ぐ。市内12施設で園児や職員ら390人以上の感染が明らかに。ただ市によると、施設間の関連性などは明らかになっていない。

■乳幼児や高齢者は重篤化も

厚生労働省によると、ノロウイルスは例年11月から発生が増える傾向にあり、12月~翌年1月にピークを迎える。令和2年の感染者は全国で約3600人に上り、特に冬に急増した。

感染症に詳しい近畿大医学部教育センターの藤田貢(みつぐ)准教授によると、感染経路は、ウイルスに汚染された食品を加熱が不十分なまま食べる▽感染者が調理した食品を食べる▽感染者の便や嘔吐物に接する-などが想定される。

どんな症状に見舞われるのか。発症までの潜伏期間は1~2日。激しい嘔吐や下痢、発熱が特徴だ。健康な人であれば1~2日で回復することがほとんどだが、脱水に陥りやすい乳幼児や高齢者は重篤化することがある。

多くの人がコロナを警戒し、手洗いやマスク着用が当たり前になった。だが、そんな中でもノロウイルスには油断が禁物といえる。

コロナ対策として有効とされるアルコール消毒だが、ノロウイルスには「ほぼ無効」(藤田氏)。ウイルスの性質上、消毒用アルコールが効きにくいという。

さらにコロナや季節性インフルエンザと異なりワクチンなどはなく、治療は点滴などの対症療法が中心だ。

このため家庭で療養する際には、脱水を防ぐためにスポーツドリンクや経口補水液を少しずつこまめにとることが大切。下痢止め薬はウイルスが体外に排出されにくくなり回復を遅らせるという説もあり、使用の際には医師に相談するのが望ましい。

■調理や食事前のこまめな手洗いを

感染防止に重要なのは、調理や食事前などのこまめな手洗いだ。指輪は外し、せっけんを泡立てて爪や指の間、手首も洗う。流水で十分すすぎ、清潔なタオルやペーパータオルで拭く。また、カキやアサリといった二枚貝などは中心部を85~90度で90秒以上加熱するとウイルスは不活化する。

身近な人が発症した場合はどうすればよいか。

便や嘔吐物などは部屋を換気し、手袋やマスクを着用した上で慎重に処理する。掃除や衣類の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用塩素系漂白剤を水で薄めたものを使い、感染者が触れてウイルスが残りやすいドアノブや蛇口は特に念入りに清掃することを心掛けたい。

藤田氏は「ノロウイルスは感染力が強い。コロナ禍で手洗いなどが習慣化した人も多いと思うが、改めて気を引き締めて対策を」としている。