商社3強、最終益7000億円台の首位争い 通期予想 資源高追い風、構造転換も奏功

総合商社の業績が好調だ。令和3年9月中間連結決算では、大手7社全てが過去最高の最終利益を計上した。通期(4年3月期)も全社が予想を上方修正し、6社が最高益更新を見込む。中でも伊藤忠商事と三菱商事、三井物産は激しい「首位争い」を展開しており、通期の最終利益はそろって業界初となる7000億円の大台に乗る見通しだ。

「絶好調の歴史的な上期(中間)決算だった」。今月5日にオンライン上で行われた決算記者会見。伊藤忠の石井敬太社長はこう力を込めた。

同社の中間期の最終利益は、前年同期比98.3%増の5006億円と大幅に伸び、わずか半年で通期の最高益(2年3月期の5013億円)に迫った。好調を受け、通期予想は従来の5500億円から7500億円(前期比86.8%増)へ上方修正した。しかもそれは「ミニマム(最低限)」(石井社長)の堅めに見積もった数字だという。

中間期は、最終黒字への転換を果たした住友商事を含め、全社が業績を伸ばした。通期も同様で、最高益に唯一届かない見通しの双日も、その差はわずか4億円でしかない。

伊藤忠と三井物産、三菱商事による三つどもえの首位争いにも注目が集まる。通期の最終利益予想は三菱商事が7400億円、三井物産は7200億円で、7500億円の伊藤忠とはほとんど差がない。伊藤忠は首位になれば2年連続となるが、逆転される可能性もある。

各社の業績好調を支えるのは資源高だ。各社とも資源部門の利益が全体に占める割合は大きい。鉄鉱石の価格は今夏、2年前の2倍程度まで急騰し、原油価格も1バレル=80ドル超と約7年ぶりの高水準が続く。世界各地に資源権益を保有する商社には強い追い風が吹く。主に伊藤忠と三井物産は鉄鉱石、三菱商事は製鉄に使う原料炭の価格上昇がプラスとなっている。

一方、新型コロナウイルス禍からの経済回復などを背景に、非資源事業も好調だ。伊藤忠は、IT子会社の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などを含む情報・金融事業の通期の最終利益が1000億円に達する見通しで、輸入車や建材の販売なども伸びている。三菱商事は自動車販売など、三井物産も食品など幅広い事業が好調を牽引(けんいん)している。

各社にとって重要な市場である米国の経済回復も追い風だ。現地では住商が建設機械、丸紅は農業資材の販売を拡大。双日も自動車販売が伸びている。

資源事業は、巨額の利益をもたらす可能性がある半面、利益変動が大きく経営リスクにもなる。新興国のエネルギー需要拡大を背景に始まった資源開発ブームが終焉(しゅうえん)した6年前の「資源バブル崩壊」では痛手を被った。それ以来、資源に依存しない事業構造への転換を模索してきた。三菱商事は、主に非資源が占める「事業系」の最終利益が平成29年3月期に3395億円だったが、令和4年3月期は4300億円まで増える見通し。今回の好業績はそうした取り組みの結果ともいえる。

とはいえ、資源高の恩恵はいまだ大きい。鉄鉱石以外の資源価格は高止まりしているが、そうした状況がいつまで続くかは不透明だ。資源バブル崩壊のような事態に陥るなら、来期は一転して大幅減益もあり得る。住商の塩見勝最高財務責任者(CFO)は「逆風もあると思うので、来年度の利益イメージを考えているところだ」と話す。

(井田通人)