職場で差別文書配布は2審も違法、賠償増額 大阪高裁

大阪高裁・地裁
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職場で特定民族への差別を含む文書などを配布され精神的苦痛を受けたとして、在日韓国人の50代女性が勤務先の不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)と男性会長(75)に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、大阪高裁であり、清水響(ひびく)裁判長は1審大阪地裁堺支部判決に続き、文書配布の違法性を認めた。

賠償額については、文書などの配布が1審判決後も続いていることなどを踏まえ、110万円から132万円に増額した。また、ヘイトスピーチ(憎悪表現)や女性への誹謗(ひぼう)中傷にあたる表現などを含むものについては配布を禁じ、判決確定を待たずに差し止めを命じる仮処分決定も出した。

判決によると、原告は平成14年からパート社員として勤務。25年ごろから、社内で中国人や韓国人を非難する記事のコピーなどが配布されるようになった。

清水裁判長は判決理由で、1審同様に配布は「原告個人への差別的言動とはいえない」としつつ、従業員には差別的思想を醸成する行為が行われない職場で働く「人格的利益」があると指摘。差別的な表現を含む文書などの配布は、職場環境に配慮すべき使用者としての義務に違反しているとして、違法性を認めた。

原告側弁護団の村田浩治弁護士は「差別的な意識を醸成させないように配慮することが企業の義務と明示した画期的な判決だ」と強調。フジ住宅は「言論に対して極めて重大な影響を及ぼす」とコメントし、上告する意向を示した。