古代エジプト展名品紹介(3)

頭部はハヤブサ、異形の神

11月20日から兵庫県立美術館で「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」(産経新聞社など主催)が始まります。展示品から、えりすぐった品々を5回にわたり紹介します。第3回は「モンチュウ神の像」です。

モンチュウ神の像

モンチュウ神の像後期王朝時代(前722-332年頃)高さ14.8,幅5.0,奥行6.9センチ Image©Rijksmuseum van Oudheden(Leiden, the Netherlands)
モンチュウ神の像後期王朝時代(前722-332年頃)高さ14.8,幅5.0,奥行6.9センチ Image©Rijksmuseum van Oudheden(Leiden, the Netherlands)

古代エジプトには多くの創造神話があった。たとえば、冥界を司(つかさど)るオシリス神と妻イシス、その子、ホルス神の話などは、日本の国生みを思い起こさせるが、こうした神話が時代や地域によってさまざまに生まれてきたこと自体、多くの神の存在を示すものだろう。

民衆たちは、神々がエジプトに繁栄をもたらすと考えた。神殿に住む神々と民衆をつないだのが神官で、彫像の置かれた聖域では、彼らが神を喜ばせるためのさまざまな儀式を行った。

このモンチュウ神は古代エジプトのなかでもテーベという都市で戦争の神としてあがめられたとされる。

人間のからだにハヤブサの頭を持っているが、ほかにも知恵の神であるトト神の頭部がやはり鳥のトキであったり、豊穣(ほうじょう)や音楽の神とされるバステト女神の頭部が、エジプト人が初めて家畜化したとされるネコの形をしているなど、古代エジプトにはこうした異形の神像が数多く存在する。

それは、古代エジプトの人々が神に求めるイメージをそれぞれ動物に仮託し、形態として表現していったからに違いない。(正木利和)