ビール復権の兆し コロナ下火、酒税見直しが追い風

消費が低迷していたビールに〝復権〟の兆しが見え始めている。昨年10月の酒税法改正で、安さが売りの第3のビールとの価格差が縮まったほか、新型コロナウイルスの感染拡大が下火となり外食が通常営業に戻る中、業務用ビールの需要も回復しつつある。発泡酒の台頭以降、シェアを減らし続けてきたビールに訪れた追い風に、各社は新商品を相次いで投入。健康に配慮した商品や、家庭でビールをよりおいしく楽しめるサービスも登場している。 ビールは長らく冬の時代が続いていた。人口減少などで国内のアルコール市場が縮小する中、消費者の好みも多様化。ビール類に限っても、価格が安い発泡酒や第3のビールの登場でシェアを奪われていった。

コロナ禍も逆風となった。外食の営業が制限される中、ビール販売の約5割を占めるとされる業務用が低迷。自宅ではビールよりも割安な商品が好まれる傾向にあり、昨年は初めて第3のビールが、ビールのシェアを上回った。

しかし、昨年10月に酒税法改正に伴い税率が見直されると、徐々に風向きが変わる。ビールは350ミリリットル当たり7円の減税、第3のビールは10円近くの増税となり、価格差が縮まったからだ。税率の見直しは令和5年と8年にも予定されており、最終的にビール類の税率は統一されることが決まっている。

これまで各社はビールの低迷を海外企業の買収や他業界への進出などで補ってきたが、今でもビールが看板商品であることに変わりはない。各社は「久しぶりの追い風をつかみたい」(関係者)考えで、新商品を相次いで発売。中でもアサヒビールが4月に発売した「スーパードライ 生ジョッキ缶」は、コンビニエンスストアでの先行発売から2週間で生産が追い付かずに発売休止になるほどの人気を集めた。

キリンビールが昨年10月に出した「一番搾り 糖質ゼロ」は健康ブームも相まって1年間で2億本を販売。近年の新商品で最も売れたヒット商品となった。サントリービールも4月に「パーフェクトサントリービール」を出すなど、糖質ゼロビールは一つのジャンルとして確立されつつある。サッポロビールも主力の「黒ラベル(缶)」が6年連続で前年実績を上回り好調だ。

外食に人が戻り始めているのも好材料だ。酒類の提供が始まった今年10月の販売実績をみても、それまで前年比6割減だった業務用ビールの販売は、1割減程度にまで回復した。コロナ前の水準にはまだ戻っていないが、家庭用のサーバーで生ビールを楽しめるサービスも広がり始めており、今後も各社の新戦略に注目が集まりそうだ。