自民党税制調査会は18日、岸田文雄政権が誕生して初の非公式幹部会(インナー)を開き、令和4年度税制改正に向けた議論を開始した。会合後、宮沢洋一税調会長は記者団の取材に応じ、12月9日にもまとめる4年度の与党税制改正大綱で、住宅ローン減税の控除率1%を縮小する方針を明らかにした。
現行制度は年末のローン残高(上限4千万円)の1%を所得税などから差し引くことができる。ただ近年の低金利を背景にローン金利が1%を割り込むことが多く、控除により還付される額が支払い利息額を上回る「逆ざや」が発生していた。宮沢氏は「完全に益税が出ている状態で、やはり是正しないといけない」と強調した。
控除率の縮小方法については、一律に引き下げる案と利払い分のみを控除する案がある。国土交通省や住宅業界は0・7%への一律の引き下げを主張。一方、財務省は0・7%でも逆ざやが発生すると反対する。
岸田文雄首相が見直しを掲げる「賃上げ税制」について、宮沢氏は「(導入後10年弱が経過するが)あまり効果があったというわけでもない」と指摘。「(企業の)努力を政策的に応援していく」とし、企業の賃上げ環境の整備を税制で支援する施策を検討する。
また、首相が一時意欲を示しながらも先送りした金融所得課税の見直しについても議論を進め、税制大綱の中に来年度以降の考え方を示すとした。(鬼丸明士)