あなた好みの「オーダーメード」の散策を―。「蔵造りの町並み」で知られる埼玉県川越市で、観光客ごとにおすすめの店舗などを紹介するICT(情報通信技術)を活用した実証実験が始まった。特定の観光スポットへの人の集中を緩和することで、新型コロナウイルスの感染拡大防止にもつなげる。
実証実験は、NTT東日本埼玉西支店が、土産店や飲食店などが加盟する「川越一番街商業協同組合」の協力を得て来年1月下旬までの予定で実施している。
スマートフォンやタブレットを使い、観光客向けサイト「デジタルお散歩マップ」で訪れた理由などを入力すると、希望に合った店やスポットが紹介される。例えば、来訪の目的を「初めての川越を楽しみたい」「文化・歴史に触れたい」「たくさん写真を撮りたい」といった選択肢から選び、同伴者に関し「友達」「恋人やパートナー」「家族や子供」などの中から指定する、という具合だ。
さらに、混雑状況をリアルタイムで伝えるサービスの実施も計画している。
店舗側には、商品の企画や仕入れに役立てるための「スマート商店街アプリ」を提供している。スマートフォンのデータをもとにした人流の情報などを活用し、商店街を訪れる観光客の数や性別、年代などを予測する。
NTT東日本埼玉西支店の担当者は「個々人に最適な安心・安全な観光体験を提供し、地域活性化に貢献したい」と話している。(中村智隆)