返り入幕の阿炎が平幕唯一全勝「元気な姿を見せるのが大事」

【大相撲十一月場所(九州場所)5日目】〇阿炎(おしたおし)天空海× =福岡国際センター(撮影・榎本雅弘)
【大相撲十一月場所(九州場所)5日目】〇阿炎(おしたおし)天空海× =福岡国際センター(撮影・榎本雅弘)

新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反して出場停止処分を受けた阿炎(あび)が、7場所ぶりに戻った幕内で奮闘している。大相撲九州場所5日目の18日、天空海(あくあ)を押し倒して平幕でただ一人全勝を守り、「勝っていくというよりも元気な姿を見せるのが大事だと思っている」と静かに闘志を燃やす。

天空海を圧倒した。立って回転のいい突っ張りで主導権を握る。わずかに押し込まれても攻撃的な姿勢を崩さず、相手が引いたところで一気に前進。最後は豪快に押し倒し、「四つに組みたくなかったので、自分の距離で相撲を取ることを考えた」と納得の表情だ。

自身の軽率な行動を悔やみ、ライバルと体をぶつけ合って観客の拍手を浴びる喜びをかみしめている。不要不急の外出が禁じられていた昨年7月場所中などに飲食店へ出入りし、翌場所から3場所出場停止の厳罰を受けて幕下からの再出発となった。

昨年6月に結婚して子宝にも恵まれながら、所属部屋で師匠の錣山(しころやま)親方(元関脇寺尾)の監督下に入るとの条件をつけられて自宅を離れた。幕内復帰で師匠に帰宅を認められても部屋住みを継続。家族との同居は幕内で勝ち越し後とする考えで、今は土俵だけに集中している。

「ちゃんと相撲と向き合えているんじゃないかと思う。もっともっと思い切りのいい相撲を求めていきたい」。過去は変えられないが愚行を反省して、未来を変えることは可能だ。失った信頼を取り戻すための精進は続く。(奥山次郎)