高濃縮ウラン増量 監視逃れ核開発推進か イラン 29日の会合再開控え

イランのライシ大統領(ゲッティ=共同)
イランのライシ大統領(ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イランの核開発を監視・検証している国際原子力機関(IAEA)は17日、同国が濃縮度60%のウランを推定17・7キロ保有しているとする報告書をまとめた。AP通信によると保有量は8月から約8キロ増えた。60%は核兵器級の90%に接近する重大な核合意違反となる。IAEAはまた、濃縮に使う遠心分離機の部品製造施設の監視が妨げられているとして懸念を示した。

29日にはイラン核合意の修復に向け、同国と米国の間接協議を含む当事国会合が再開される予定だが、米国が科した経済制裁の解除に向けて圧力をかけるイランの姿勢に変わりがないことが示された。IAEAのグロッシ事務局長は22日からイランを訪れ、アブドラヒアン外相らと協議する。

イランは米国が核合意を離脱して制裁を再開した翌年の2019年から合意を逸脱する核開発を推進し、今年4月には60%のウランを製造した。合意が規定する濃縮度上限は3・67%。

一方、IAEAは報告書で、イランの首都テヘラン西方のカラジにある核関連施設の稼働状況が把握できない事態が続いているとして、検証に「深刻な影響を与えている」と述べた。

カラジではウラン濃縮用の遠心分離機の部品が作られている。イランは6月、イスラエルによる破壊工作を受けたとし、調査を行うとの理由でIAEAが設置した監視カメラの点検や記憶媒体の交換を拒んでいた。映像データの一部は行方不明だとの報道もある。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは16日、複数の外交筋の話として、カラジの施設は8月下旬に稼働が再開され、少なくとも高性能の遠心分離機170機分の部品が製造されたと伝えた。この問題はグロッシ氏のイラン訪問や、29日からの当事国会合で主要な議題になる可能性がある。

4月に始まった米イランの間接協議は6月、反米保守強硬派のライシ師がイラン大統領選で勝利してから中断が続いていた。ライシ政権は今月、米国に「二度と核合意から離脱しない」と保証するよう求める方針を示しており、当事国会合の難航は必至とみられている。