2050年の脱炭素に向けて、環境問題への対策に使い道を限定したグリーンボンド(環境債)の発行が世界的に加速している。10月に欧州連合(EU)が発表した世界最大規模の発行では、発行額を大幅に上回る需要があった。資金使途の制約はあるものの、発行側、投資家側の双方にとって環境問題への積極姿勢をアピールし、社会的な評価の向上につなげるメリットがあり、日本でも効果的な資金調達手段として右肩上がりで伸びている。
■温暖化危機でEU先行
「(この発行は)EUを世界最大のグリーンボンドの発行者にし、市場に大きなプラスの影響を与えることを目的としている」。世界最大規模となる120億ユーロ(約1兆6000億円)の発行を発表したEUのハーン欧州委員は、10月12日に出した声明でこう強調した。