地方に勝機

紅茶の街になれるか 認知度いま一つの宇都宮

「紅茶を飲むことで人々を笑顔に」と話す根本泰昌さん=宇都宮市のワイズティー(鈴木正行撮影)
「紅茶を飲むことで人々を笑顔に」と話す根本泰昌さん=宇都宮市のワイズティー(鈴木正行撮影)

11月1日の「紅茶の日」に合わせ、宇都宮市の紅茶専門店が呼びかけ、栃木県の地元企業が中心となった合同イベント「紅茶の香る栃木県」が今月末まで開かれている。宇都宮市は紅茶の消費量で全国上位にランクインしたこともあるが、紅茶の街として知られる横浜、神戸などと比べ、認知度はいま一つ。餃子、ジャズに続く「紅茶の街」となり、宇都宮のイメージアップにつなげることができるか。

〝本家〟も認める

「紅茶を通じた(宇都宮の)企業活動が、メディアでは『ありえない』現象として注目されています」

栃木県内の企業が集まり、紅茶を用いた新商品などのイベント内容が披露された=10月21日、宇都宮市のワイズティー(鈴木正行撮影)
栃木県内の企業が集まり、紅茶を用いた新商品などのイベント内容が披露された=10月21日、宇都宮市のワイズティー(鈴木正行撮影)

10月21日に宇都宮市の紅茶専門店、ワイズティーで開かれた「第1回栃木紅茶サミット」。紅茶のコラボ商品・サービスを提供する約20社の担当者らを前に、専門店を運営するワイズティーネットワークの根本泰昌社長は胸を張った。会場のモニターには、令和元年8月に放送されたテレビ番組で、ワイズティーが紹介された場面が映し出された。

根本さんいわく「かつて宇都宮は日本で一番紅茶を飲まない地域」だった。ところが根本さんは「紅茶を飲むことで人々を笑顔にしよう」と平成16年、宇都宮の中心商店街にワイズティーを開店した。

25年には、宇都宮市立中央小学校に紅茶部が発足。学校関係者や保護者などが「生まれ育った街を好きになってほしい」と企画した。紅茶の魅力や茶葉の生産地のインドやスリランカの地理・歴史、礼儀作法を学ぶ場として、多い年で全校児童の5人に1人が所属するほど人気を集めた。

子供たちが根本さんに出した手紙には「栃木に生まれて初めて誇らしく思った」「将来も宇都宮で生活したい」などの感想が寄せられた。根本さんは「文化不毛の土地に、新しい文化が生まれた」と振り返る。

その後も、地元の異業種とのコラボ商品の開発を積極的に進めた。仏教行事「花まつり」に合わせ、インドの紅茶、中国と日本のアマチャヅルをブレンドし、仏教の三国伝来を表現したオリジナルブレンド紅茶を開発。宇都宮市の歯科医と共同で、フッ素成分のある紅茶で口腔(こうくう)ケアをうたった商品を売り出した。地元の女性バイオリニストのために、オリジナルブレンド紅茶も仕上げた。

ここ数年、紅茶専門店の多い街として知られる横浜、神戸でも、根本さんのオリジナルブレンドや監修した商品が店頭に並んでいる。横浜では、一昨年に横浜美術館開館30周年の記念グッズを監修したほか、最近では「ワイズティーの看板で出店したい」という依頼が寄せられている。宇都宮の紅茶が〝本家〟の紅茶の街から認められた、といえる。