立民代表選、盛り上がりに不安 共産との共闘姿勢に差異見えず

立憲民主党の枝野幸男前代表の後任を決める代表選(19日告示、30日投開票)は、泉健太、逢坂誠二、西村智奈美の3氏が17日に立候補を表明したことで、複数候補による戦いとなる。ただ、閣僚経験がない3氏の知名度は低く、野党共闘に対する考えでも明確な違いは見いだせない。党勢浮揚につながるかは不透明で、党内からは「この顔ぶれでは難しいのではないか」と不安の声も漏れる。

「民主党政権時代からの顔なじみが党を切り盛りしていた。フレッシュな人材の選挙戦だ。党の人材の豊富さと新しい魅力をアピールする場になればいい」

立民の議員グループ「自誓会」(8人)会長の階猛衆院議員は17日、国会内で記者会見し、代表選への期待を語った。自誓会は泉氏支援を決めた。

泉氏に対しては中堅・若手を中心に世代交代や党運営の刷新を求める声がある。逢坂氏にはリベラル的な政治信条と首長経験者としての安定感、女性候補の西村氏には党が掲げてきた多様性の象徴としての役割が期待されている。

ただ、党の公約を掲げて衆院選を戦った直後ということもあり、政策的な違いは乏しい。代表選では来年の参院選を見据え、政権交代が実現した場合の限定的な「閣外協力」で一致した共産党などとの選挙協力の在り方が焦点となるが、今のところ3氏の主張から争点は見いだせない。

共産との関係について泉氏は「地域ごとの違いに応じた枠組み形成になる。今、何かを否定するものではない」と述べるにとどめた。また、逢坂氏は「選挙区で事情が違う。その時々の状況によっての判断だ」、西村氏は「具体的な方向を示せることはない」と語るのみだ。

官僚をつるし上げ、「批判ばかり」という立民のイメージを定着させる一因となった「野党合同ヒアリング」に関しても「条件付き継続」で一致している。

泉氏は「議員が役人を詰問するスタイルを改める」とし、逢坂氏は「人間的な節度を持ったやりとりが必要だ」と述べ、西村氏は「方法はもう少し工夫する必要がある」と主張した。

西村氏を支持する中堅議員は「泉氏は現執行部、逢坂氏は枝野氏より年齢が上のため清新さは疑問だ。西村氏は『女性候補が必要だから出る』という雰囲気を出しすぎている。本気で戦って盛り上げてほしい」と語った。(沢田大典)

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