福島第1の処理水、環境影響は「極めて軽微」と東電

処理水タンクが並ぶ東京電力福島第1原発=福島県(本社ヘリから、川口良介撮影)
処理水タンクが並ぶ東京電力福島第1原発=福島県(本社ヘリから、川口良介撮影)

東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出について、東電は17日、放出による周辺海域での被曝(ひばく)線量は国や国際機関の安全基準を大幅に下回り、放射線が周辺の住民や環境に与える影響は「極めて軽微」とする評価結果を発表した。海洋トンネルを整備して沖合約1キロへの放出計画を進める中、地元住民らの不安を払拭し合意形成につなげたい考えだ。

評価は、国際原子力機関(IAEA)が示す手順に基づき、64種類の放射性物質を踏まえてシミュレーションを実施。同原発の沖合約1キロで海中に放出した場合を想定し、周辺10キロ四方の海域について漁業従事者で日常的に海産物を摂取する人の被曝線量や、動植物に対する影響を算出した。

人への影響は、法令で定められた一般人の線量限度(年間1ミリシーベルト)を大幅に下回り、普通に暮らして自然に被曝する年間2・1ミリシーベルトと比べた場合、約12万分の1~約2万分の1にとどまった。

周辺海域に生息するヒラメやカレイ、カニ、海藻などの被曝も、生物に何らかの影響が出る可能性を示した国際的な基準の下限値の約6万分の1~約2万分の1以下の値だった。

東電は8月、海底トンネルを整備して配管を通し、希釈した処理水を同原発の沖合約1キロの海中に放出する工程案を発表。令和5年春の放出開始を目指す。

処理水は多核種除去設備(ALPS)でトリチウムを除く大半の放射性物質を浄化済み。放出前に海水で100倍以上に希釈し、1リットル当たりに含まれるトリチウムの濃度を国の排出基準(6万ベクレル)の40分の1程度である1500ベクレル未満に薄めて排水するとしている。

東電福島第1廃炉推進カンパニーの松本純一・ALPS処理水対策責任者は17日の記者会見で、「(放出は)健康や環境にほとんど影響はないと考えている。今回の評価結果を伝えることで、放出に向けた理解を深められるようにしたい」と述べた。