楓ちゃん事件17年 命の大切さ考える集会 奈良

テレビ会議システムを使って開かれた「命を考える集会」=17日午前、奈良市立富雄北小学校(代表撮影)
テレビ会議システムを使って開かれた「命を考える集会」=17日午前、奈良市立富雄北小学校(代表撮影)

奈良市で平成16年、市立富雄北(とみおきた)小学校1年の有山楓(かえで)ちゃん=当時(7)=が誘拐、殺害された事件から17年となった17日。同校で命の大切さについて考える集会が開かれた。

事件の風化を防ぎ、命の尊さを考えようと同校が毎年開催。午前8時40分、校長室と各教室をテレビ会議システムでつなぎ、後藤誠司校長が「私たちはたくさんの人とつながり、支えられて生きています。自分の命も人の命も守れる人になってください」と語りかけた。

児童511人が耳を傾け、楓ちゃんの冥福を祈り、黙禱(もくとう)をささげた。集会後には、自分や他人の命を大切にすることを学ぶ「命の授業」が行われた。

当時の校長ら、思い新た

有山楓ちゃんが誘拐、殺害された事件をきっかけに、楓ちゃんが通っていた富雄北小学校では今も、集団登下校や通学路での見守り活動が続けられている。当時の校長、楳田(うめだ)勝也さん(76)は「事件から月日がたつが、児童や保護者には忘れてほしくない。改めて安全への取り組みを意識してほしい」と話す。

17年前の11月17日午後、楓ちゃんが帰宅していないという情報が同校に入った。教員らは手分けし、付近の田畑や空き地、溝などを名前を呼びながら懸命に捜索。だが、翌日午前3時過ぎ、奈良県平群(へぐり)町で少女の遺体が見つかり、楓ちゃんと確認されたと県警から連絡が入った。職員室は静まり返り、沈痛な空気に包まれた。

児童の安全について思いを新たにする富雄北小学校の後藤誠司校長(右)と楳田勝也元校長=奈良市
児童の安全について思いを新たにする富雄北小学校の後藤誠司校長(右)と楳田勝也元校長=奈良市

楳田さんは「なぜ楓ちゃんが…。憤り、怒り、悔しさなどいろんな感情でいっぱいになった」と話す。

だが、数時間後には、児童がいつも通り登校してくる。玄関や教室前に教員らが立ち、保護者と児童のみを確認して校内に入れる厳格なチェック体制を敷いた。当時6年の担任だった後藤誠司校長(58)は「犯人がどこにいるかわからない。ものすごい緊張感だった」と振り返る。

事件後は集団登下校を実施し、地域のボランティアが毎日児童に付き添った。現在は登校時はボランティア、下校時は保護者が通学路の見守りポイントに立ち、児童の安全を確認している。

毎日朝夕、校門の前に立ち、児童とあいさつを交わす後藤校長。人通りが少なかったり、街灯がなくて暗かったりするなど、児童自身が外出時に危険な場所を察知する感覚を磨くことが大切だと説き、「自分や友達の安全を守れるようになってほしい」と願い、こう語る。

「明日も待っているよ、と児童に声をかけるが、楓ちゃんに明日はなかった。明日があることがどれだけ幸せなことかを感じてほしい」