改憲勢力伸長、護憲勢力衰退
自民党総裁選に続く衆議院選挙、その末に国民が創りあげた政界勢力図によって、日本に新たな動きが生じている。菅義偉首相の突然の辞任表明から2カ月余。紆余(うよ)曲折を経たさまざまな動きは感慨深い。
選挙で国民が示した意思とは、「改憲勢力の伸長」と「護憲勢力の衰退」である。自民党は追加公認も含め、絶対安定多数の261を確保。日本維新の会(以下、維新)は4倍近い41(プラス30)、国民民主党は11(プラス3)を得た。3党で憲法改正発議に必要な全体の3分の2の「310」を3議席上回り、与党公明党も入れると345という圧倒的数字となった。
一方、護憲勢力の立憲民主党(以下、立民)はマイナス14の96、共産党はマイナス2の10。立民が「日米安保条約破棄」と「自衛隊違憲」を基本とする共産党と連携し、全289選挙区のうち、213で統一候補を立てたが、国民は「ノー」を突きつけたのだ。
民主党政権時代の3年3カ月で戦後最悪の日米関係に陥った記憶は国民の間で風化していない。尖閣諸島を自国の領土と主張し、領海侵犯をくり返し、力による現状変更を前面に打ち出す中国。台湾という自由主義圏への侵略さえ「必ず成し遂げる」という国に、日米関係を後退させ、自衛隊も違憲という勢力が政権を握った日本が「立ち向かえる」と思う国民は少なかったのである。