医師でジャーナリストの村中璃子さんは平成29年、英科学誌「ネイチャー」などが主宰する「ジョン・マドックス賞」を受賞した。小紙と北海道新聞しか「日本人初」の快挙を速報しなかった。子宮頸(けい)がんワクチンの安全性を訴え続ける、村中さんへの反発を考慮したのか。
▼このワクチンは25年4月から、小学6年から高校1年までを対象に定期接種が始まった。ところがわずか2カ月後、厚生労働省は積極的な勧奨を中止する。接種後に痛みやしびれなどの症状を訴える人が相次いだからだ。
▼テレビでは、激しく痙攣(けいれん)する少女の映像が繰り返し映し出された。被害を訴える女性たちは、国や製薬会社を相手に損害賠償を求める集団訴訟を起こし、裁判は今も続く。「元の体に戻して」。原告の悲痛な訴えをメディアは大きく報じてきた。