【北京=三塚聖平】中国共産党は16日、党創建100年の歴史を総括する「歴史決議」の全文を発表した。習近平総書記(国家主席)の就任以降を「新時代」とし、功績をたたえる記述が目立つ。来年の第20回党大会で異例の3期目入りを目指す習氏の権威強化を図る狙いが鮮明だ。
毛沢東、鄧小平の時代に続く3度目で、40年ぶりの歴史決議となる。1989年に民主化運動が武力鎮圧された天安門事件については「重大な政治風波(騒ぎ)」と定義。その上で、党と政府が「動乱に旗幟(きし)鮮明に反対した」と武力鎮圧を正当化した。党として天安門事件に初めて歴史上の評価を下したことになる。
毛への個人崇拝が中国全土を大混乱に陥れた文化大革命(文革)は、「誤り」や「災難」という従来の決議の表現を踏襲した。
決議は約3万6千字で、このうち習氏の総書記就任以降の9年間に関する記述は1万9千字余りだった。習氏就任後に関して、巨大経済圏構想「一帯一路」や、新型コロナウイルスの感染拡大に対する措置などを強調。「長らく未解決だった多くの難題を解決した」などと絶賛している。
一方、文革の反省から鄧時代に強調されていた「集団指導」への言及や、「個人崇拝」を戒める文言は見当たらない。
決議の正式名称は「党の100年の奮闘の重大成果と歴史経験に関する決議」で、今月11日に閉幕した党の重要会議、第19期中央委員会第6回総会(6中総会)で採択された。